インターネットショッピングの決済方法は、2016年に発表の「オンライン決済、スマホ決済の動向整理」によると、主な決済方法としてクレジットカードを選択しているユーザーが60.9%と大多数だ。しかし、クレジットカード決済には、いくつかの不安がある。例えば、クレジットカード番号を相手に渡さなければならないこと。信頼できる大手ショップや、普段から利用しているショップならいざ知らず、新規のネットショップで買い物をする場合には、不正に利用されないか気になるといえる。また、不正には及ばなくても、杜撰な管理によって、クレジットカード番号が流出しないかという懸念もある。

 そんな問題を解決するサービスとして、世界中で利用されているサービスが「PayPal(ペイパル)」だ。PayPalは、“電子の財布”として利用できる決済サービス。PayPalアカウントにクレジットカードを紐付け、そこから出金することで、クレジットカード番号をショップ側に渡さず買い物ができる。現在、世界中に2億5000万以上のアクティブユーザー(1年以内に1回以上の買い物をしたユーザー)がいて、取扱高が40兆円を超える。17年6月には、銀行口座とPayPalアカウントが紐付き、クレジットカードを持たないユーザーにも間口が広がった。

リスク・マネジメントに関するセミナーを開催

 そんなPayPalのセキュリティ状況について、18年11月、PayPalでコンシューマ・リスク・サービスを担当するマイク・ヴァガラ副社長が来日し、リスク・マネジメントに関するセミナーを開催した。
 

 ヴァガラ副社長は、「PayPalは、リスクをいかに回避し、消費者と売り手が安心して取引できる環境整備を重要視している」と強調する。PayPalを利用することで、消費者にとってはクレジットカード番号の開示先を限定し、流出リスクを最小限に収めることが可能なことに加え、「買い手保護制度」によって悪意ある販売者による詐欺にあった場合に補償を受けることができる。一方、売り手にとっても、クレジットカード番号を消費者から受け取らないことで、管理リスクやコストを低減することができる。

 不正なアカウントによるなりすましの買い物については、ストーリーに基づいた不正検出システムによって検知。過去の取引委歴との整合性や、購入に利用した端末のIPアドレスなど、さまざまな観点から不正を曝き、アカウントの乗っ取りや商品取り込み詐欺などを防止することができるという。

 このように、安心かつ安全な取引ができるPayPalは、インターネット上のみで取引を行うオンラインショッピングのみならず、実店舗を持つサービス業でも利用が始められている。その実際の現場を取材した。

日本有数の格式を誇る「ホテル椿山荘東京」が導入

 東京・文京区にある「ホテル椿山荘東京」。東京の都心にありながら、四季折々の自然を楽しめる庭園を併設する都内でも希少なホテルで、国内のみならず海外からの観光客にも愛されている。日本有数の格式を誇るホテル椿山荘東京が今年の秋に導入したサービスがPayPalを採用。具体的には、コネクター・ジャパンの提供する宿泊施設向けサービス「BILLIEF(ビリーフ)」を導入したのだ。
 

 ホテル椿山荘東京の小嶋隆・宿泊予約課チーフマネージャーは、「近年、オンラインで宿泊施設を予約できるサービスOTA(Online Travel Agent)を利用するお客様が増えている。そのOTAを経由したお客様の中に、ノーショー(連絡なしのキャンセル)や直前でのキャンセルが増えているのも実情。キャンセル料金の支払いに応じていただけない場合も残念ながら少なくない。そんな問題で頭を悩ましている時に、宿泊施設向けのセミナーでBILLIEFの存在を知り、導入に向けてすぐに依頼した」としている。
 
ホテル椿山荘東京の小嶋隆チーフマネージャー

 OTAのサービス内容や、宿泊施設が設定したプランによって異なるが、OTAでは顧客がクレジットカードによる事前決済や、現地決済(施設へ直接支払う)など、決済方法を選択できる。そのうち、一部のプランにおける現地決済を選択したユーザーに対し、BILLIEFが請求書を発行する。コネクター・ジャパンの青山大介・事業開発部部長は、「OTAを利用したお客様の一部に対し、PayPalから発行した請求書を送付するのがBILLIEFの主なサービス」と説明する。
 
コネクター・ジャパンの青山大介部長

 宿泊客のキャンセル問題に苦労していたホテル椿山荘東京にとって、事前決済を促して予約の確実性を上げることができるBILLIEFは渡りに船のサービスだった。実際に導入した効果はどうだったのだろうか。

 「ノーショーや直前キャンセルのうち、連絡が取れない、支払っていただけないという件数は減少している。ノーショーや直前キャンセルがあると、ホテルにとって機会損失となり、フロントをはじめ現場にも悔しい思いが残る。ところが、確実な予約が増えたことで安心して積極的に販売できるようになった。スタッフの士気が高まったのが大きなメリット」と小嶋チーフマネージャーは評価する。

 また、セキュリティ面の不安や、新システムの導入による手間の増大などの負担もなかったという。小嶋チーフマネージャーは、「セキュリティに関しては、非常に安心している。お客様のクレジットカード番号はとても大切な個人情報で、ホテルにとっては取得にも管理にも大きなリスクが伴う。それを、PayPalで一括管理してくれるのだから、本当に助かっている。また、請求書はBILLIEFを経由して、お客様にほぼ自動で発送されるため、業務効率化にもつながっている」とかみ締める。

 PayPalは、セキュリティを気にすることなく、キャンセルに関わる問題の解消に寄与する。今後、同様の問題で悩む宿泊施設が導入するという傾向が高まっていくことだろう。

 「BILLIEF」の利用を開始するには、コネクター・ジャパンへの申込み・契約が必要となります。詳細に関しては以下をご参照ください。
https://www.billief.cnctor.jp/ 

「PayPal」の詳細、無料アカウント作成に関しては以下をご参照ください。
https://www.paypal.com/jp/webapps/mpp/home