理想科学工業は、昨年8月に発表したプロダクションプリント向けインクジェットプリンタの新ブランド「VALEZUS(バレザス)」初の製品で、毎分320ページの高速カット紙プリンタ「VALEZUS T2100(バレザス ティー2100)」をpage2020に国内初出展する。中小規模の印刷業やデータ出力業、金融業や保険業、民間企業・官公庁のインプラント印刷部門などの帳票印刷をターゲットに拡販を進めていく。

毎分320ページの高速インクジェットプリンタ
「VALEZUS T2100」

ダブル給紙・排紙構造による高速連続印刷が生産性を大幅に向上

 新ブランドのVALEZUSは、理想科学工業がオフィス向けプリンタで培った技術を応用して開発した製品。VALEZUS T2100は、昨年8月に発表、北米と欧州で先行販売している。

 「グローバル主体に開発した製品で、日本市場向けにはオプションの検査装置ユニットなど、いくつか機能を追加している」と営業本部の永山晃一・MA営業部次長は語る。

 VALEZUS T2100は、インクジェット方式のフルカラー高速カット紙プリンタ。表面を印刷する印字ユニットと裏面を印刷する印字ユニットを連結することで、フルカラーで毎分320ページ(320ppm)の高速両面プリントを実現した。

 また、新開発の給紙ユニットと排紙ユニットを採用。給紙ユニットは、4000枚積載可能な給紙機構を2機装備(合計8000枚)していることに加え、排紙ユニットにも4000枚の排紙が可能な排紙機構を2機装備(合計8000枚)する。これにより、給紙/排紙ユニットそれぞれに装備した2機の給・排紙機構を切り替えながら処理することで、連続印刷しながら用紙の補充や回収ができるようになっている。

 「用紙の補充や回収のために印刷作業を止めることなくプリント処理が継続できるので、大量印刷の作業効率を大幅に向上することができる。1時間に換算すると1万9200ページの大量プリントが可能だ。また、排紙ユニットにはジョガー機構と専用台車を搭載しているので、印刷の後加工工程へもスムーズな受け渡しができる」と永山次長はメリットを強調する。目安として、一度のプリント処理が1万枚以下であれば、ロール紙プリンタよりも低コストでのプリントが可能という。

 インクは、ドライヤーを必要としない速乾性に優れた独自開発の油性インクを採用。高速プリントでも用紙が汚れにくいほか、水性インクのように用紙が波打つことが少ないため、安定した用紙搬送を実現し、製本や封入などの後処理への負担も軽減できる。インク乾燥のためのヒーターやトナー方式のような熱定着が不要なため、消費電力も少なくて済む。

 このほかにも、用紙の搬送経路を限りなくストレートにすることで、高速処理と安定した用紙の搬送を両立している。加えて、エア給紙を採用しているため、カット紙プリンタでもローラー給紙で発生しがちな用紙の重なりや、バタつきによる印字位置のズレ、印字ヘッドの汚れなどが少なく、安定給紙とトラブル削減による信頼性の向上にもつながっている。

 「これらの機能は、当社がオフィス向けプリンタの『オルフィス』で培ってきた技術を、ふんだんに投入することで実現している」と永山次長。
 
永山晃一
営業本部MA営業部次長兼PP営業課長

カット紙プリンタで初となる「ビットマップ検査」に対応

 VALEZUS T2100が、主なターゲットに想定するのは、中小規模の印刷業やデータ出力業、金融業や保険業、民間企業・官公庁のインプラント印刷部門などでの帳票印刷だ。

 「プロダクションプリンタとしてはかなりコンパクトで、高速連続印刷が可能なため、従来であれば複数台のプリンタを使用して処理していたケースを集約することができる。これにより、省スペースと共にプリント業務に携わる人の負担も大きく軽減できる。一方、カット紙プリントなのでロール紙プリントと違って無駄なく小ロットのジョブにも対応でき、多様なジョブを高速処理できる。例えば、自治体の納税関係の書類は最初に大量発送するだけでなく、督促などで小ロットの発送も頻繁に発生する。こうした処理にも柔軟に対応できる」と永山次長。

 VALEZUS T2100は、定型フォームをコントローラーに事前登録しておき、あとから可変データ部分を合成して白紙のカット紙にプリントすることができる。さまざまな帳票の様式に対して効率的に対応でき、プレプリント紙のコスト削減にも寄与する。データ形式は、基幹業務用のデータ・ストリーム方式であるAFP/IPDSのほか、PDF、PostScriptに対応、大量印刷を管理する既存ワークフローとの連携も可能だ。

 また、オプションとして、仕上りの信頼性を高める3種の検査装置ユニットを用意する。バーコードなどのコード情報を検査する「コード検査」、一定の範囲を読み取って元データとの整合性を判断する「スポット検査」に加え、カット紙プリンタで初となる「全面ビットマップ検査」に対応した。全面ビットマップ検査では、元データと出力物の全面スキャン画像との整合性を判別するため、汚れ、擦れ、欠損、表裏不一致の検出など、より正確な検査が可能になる。

 「VALEZUSの発表から、すでに多くの引き合いがきているので、できるだけ早く正式に発売して、期待にお応えしたい。特に、データセンターにおいて、ユーザー企業のプリント業務を委託されているSIerの方々に向けて強くアピールしていきたい」と永山次長は力を込める。