富士通のHCI「PRIMEFLEX」の販売が大きく伸びている。特に、パートナー経由での販売比率が6割を超えるなど、パートナーが積極的にPRIMEFLEXの販売に乗り出している。その背景には、導入前から運用開始後までカバーするサービスを通じた、パートナーとユーザーへのサポートがある。富士通HCIのビジネス状況、PRIMEFLEXが評価される大きなポイントである国産メーカーならではのサービス/サポートについて、デジタルビジネス推進本部サービス&プロダクトビジネス統括部商品企画部部長の館野巌氏に聞いた。

導入前から稼働後まで
安心な運用を実現するサービス/サポートを提供

すそ野が拡大するHCI市場に
大きな手応え


 富士通は、2016年11月にPRIMEFLEXを投入し、HCIの本格展開を開始した。

 「PRIMEFLEXを投入してから現在に至るまで、案件数は大きく伸びている。当社のHCI販売は売上高、市場シェアともに好調な伸びをみせており、市場全体の成長を上回るペースで推移している」と館野氏はビジネスの状況を語る。
 
館野 巌
デジタルビジネス推進本部 サービス&プロダクトビジネス統括部
PRIMERGY商品企画部 部長

 18年度には、パートナー経由での販売比率が6割を超え、初めてPRIMEFLEXの直販/間販比率が逆転した。さらに、19年度に入ってから地域のパートナーの販売実績の伸びが顕著になってきているという。

 「これは大企業だけではなく、多様な業種、中堅・中小企業にまでHCIの導入が進んでいることの裏付けでもある。市場のすそ野の広がりを感じるとともに、ビジネスに大きな手応えを感じている」と館野氏。

 HCIの用途としては、VDIや既存の仮想化基盤のリプレースなどに限らず、さまざまな目的で用いられるケースが増えている。

 「企業規模や業種もさまざまで、特に偏りはない。最近では、大企業の場合、検証用として導入した小規模なHCIシステムの効果が確認できたことから、増設して全社展開していこう、といったスケールアウトの事例が増えている。中堅以下の企業では、3階層で組んでいた基幹系システムを、HCIにリプレースするケースも少なくない。当社では、小規模から大規模までを幅広くカバーできる豊富なHCIのラインアップを取りそろえている」という。

HCIを選択する上で
導入から運用までのサポートが重要


 HCIを求めるユーザーからは、やはりシステム運用をできるだけ効率化することで、コストを抑制したいとの要望が強いという。運用管理負荷の低減に加え、初期投資に掛かるコストやTCOの削減を求める声が目立つ。専任のシステム管理者を抱える大企業でも、既存のITインフラでは、専用ストレージ装置の運用管理が大きな負担になっている。それはデータの増加に合わせてリソースを追加するたびに、再設計や再構築が求められるためだ。そこで、ビジネスに直接寄与しない運用業務から限られたSEのリソースを解放することで、DXの推進をはじめとした、より付加価値の高い業務に振り向けたいというニーズがある。

 HCIは、3階層のシステムと比べて、構成と運用管理をともにシンプルにすることができる。

 このように「シンプル」「簡単」が強調されることの多いHCIだが、メリットばかりが注目されるあまり、実際の導入・運用では課題が浮上することもある。さまざまなベンダーがHCI製品を展開している中で、本当に注目すべきポイントとは、導入時はもちろん、運用後もしっかりとしたサポートを受けられることではないだろうか。

 富士通のHCIが高く評価されている理由の一つは、3年連続で国内売上額トップシェア※1の実績を誇る国産x86サーバー「PRIMERGY」をベースとしたハードウェアの高信頼、高品質に加えて、優れた操作性を備えた管理ソフトウェア「Infrastructure Manager(ISM)」の両輪にある。

 だが、決してそれだけではない。ハードウェア/ソフトウェアの両面に加えて、富士通がこれまでメインフレームの導入や保守で培ったノウハウを生かし、仮想化システムの企画・構築から、HCI導入後の運用フェーズまでの一貫した高信頼のサービス、サポートを提供しているほか、機器のライフサイクル管理だけでなく保守窓口も一本化していることが大きな強みとなっている。

 「それこそがパートナー様がPRIMEFLEXを積極的に販売いただいている理由でもある。『サポートサービスのノウハウが豊富で、導入時はもちろん、導入後まで含めたワンストップのサービスがあることが安心で、とても頼りにしている』との声をパートナー様からいただいている」と館野氏は力説する。
 

ユーザーに最適な構成を提案する
アセスメントサービスを無償提供


 各フェーズにおけるサービスを紹介していこう。

 最適なIT投資には資産の棚卸しやシステムの稼働状況を正確に把握することが重要になるが、富士通では導入前のアセスメントサービスを無償で提供※2している。これは、累計で1100件以上という豊富な実績とノウハウを持つエンジニアが、ユーザーの現行システムを分析・評価。将来的なリソースを予測して、その利用目的に最適なITインフラを提案するものだ。

 システムの仮想化を検討しているが、仮想化統合のイメージがわかない、システムの更新で予算を上申するのに際して最適なインフラ構成とその妥当性が求められている、といった悩みを持つユーザーは少なくない。システムのリプレースを控えて、現行システムの利用状況を正確に把握することができれば、過不足なくシステム更改に臨むことができるようになる。

 「われわれは、パートナー様の商談にも数多く同行してサポートしている。『初めてのHCI提案でも、安心してお客様に提案することができた』という声をいただいている」と館野氏。

安心、スムーズな導入を実現する
DTC検証サービスと工場サービス


 システム導入前には、東京・浜松町の富士通デジタル・トランスフォーメーション・センター(DTC)で、システムやアプリケーションの動作確認を行うDTC検証サービスがある。
 

 「DTCは、富士通ならではの設備で、実機を使ってお客様の業務アプリケーションの動作や仮想化環境、システム統合環境の検証といった、さまざまな要望に応じている。導入構成を疑似した環境での性能評価、サイジング情報の採取・分析・評価、あるいは使い勝手や運用性の確認といった利用もされている。パートナー様にとっても、導入時の手順や新しいシステムの動作確認ができるメリットは大きい。『本番データを使い、高負荷なシステム検証を事前に実施できたことで、お客様の納得と安心が得られ、その後のスムーズな導入につながった』と評価されている」と館野氏。

 また、PRIMEFLEXには富士通で検証済みの構成を工場でセットアップした上で納入する「工場セットアップサービス」も用意する。

 「事前にお客様から必要なパラメーターを提供していただき、工場でお客様の環境に合わせて設定、システム構築後に出荷することで、現場での作業を最小化して、すぐに使い始めることが可能になる」という。

 稼働を開始するまで最小限の時間で済むことが大きなメリットだ。導入時に掛かる手間と時間を大幅に削減することで、ユーザー企業の負荷軽減にもつながる。

 「パートナー様にとっても、短納期での納品とともにSEの工数削減にもつながるということから評判がとても良い」と館野氏は強調する。

充実のトレーニングメニュー
従量課金サービスも提供


 導入時から導入後における一連のサポートにおいて大きな強みとなっているのが、パートナー向けのHCI技術者育成トレーニングだ。

 館野氏は、「座学、ハンズオントレーニングはもちろん、eラーニングでその研修内容を復習できるメニューもある。最後の仕上げとして実機を貸し出して体験・検証していただくHCI実機体感プログラムも用意している。一連の研修を通じて、設計・構築、運用スキルに加え、検証ノウハウまでをステップを踏みながら全て習得できるようになっている」と説明する。

 トレーニングは年間で400~500人が受講しているが、今年度下期に大阪にも検証センターを設置するなどして、技術者の育成をさらに強化していく計画だ。

 また、ユーザーがより容易にHCIを導入できるよう、従量課金サービスの提供もスタートした。これは、「PRIMEFLEX for VMware vSAN」を対象としたサービスで、利用するサーバーリソース(物理サーバー台数/VMware環境のリソース使用量)に応じて、利用料金を月額払いにしている。

 「使用した分だけ支払うクラウド型の課金をオンプレミスに適応した。月額費用請求のため、初期投資を抑制でき、増設時は契約手続きが不要で、設定作業済みの予備サーバーに電源投入するだけですぐにリソースの増強ができる」という。

 今後のPRIMEFLEXの展開については、引き続き、ベンダーとの強力なアライアンスをベースに、最新テクノロジーをTime to Marketで投入していくことに加えて、ソリューションに関して、セミナーや展示会などの共同マーケティングを通じてリードを開拓し、拡販につなげていく。管理ソフトウェア「ISM」については、サードベンダー製品との連携も進めていく。

 「HCIはシステム運用を変えていく重要なツールになる。国産HCI特得キャンペーンや、より小規模なユーザーを想定した2ノードのスモールスタートモデルの提供など、キャンペーンを適時実施し、さらなる市場の拡大に努めたい」と館野氏は力を込める。

※1 Source: IDC Quarterly Server Tracker, 2019Q3, Share by Company, Japan Product Category: x86 Server [承諾番号:IDCJ-20-0097]
※2 無償となる範囲は仮想環境が100VM(仮想マシン)以下、ストレージ3台以下