これまで日本の経済成長を牽引してきた国内製造業。しかし、かつてのような高品質な製品を作ればその分だけ売れるという時代はすでに終わり、世界では第4次産業革命が進展、ものづくりのあり方にも変化の波が押し寄せてきている。そして、その鍵になっているのがデジタル技術である。

 これまで工場やものづくりの分野におけるデジタル技術領域では、現場のOT(Operational Technology:制御・運用技術)やET(Embedded Technology:組み込み技術)が進化し、日本の製造業の強みとなっていた。しかし、第4次産業革命に登場するデジタルテクノロジーには、そこで培ってきたノウハウだけではカバーしきれないプラスαが求められる。具体的に重視されているのは、IoT、AI、そしてデータ活用である。

 政府が発行している2019年版のものづくり白書の中では、「AI・IoTスキルを持つ人材が活躍できる環境の有無がデジタル化の成否を分け、職人の匠の技そのものや、品質・技術力を裏打ちする良質なデータが現場に存在するうちに、将来を見据えた対策を行うことが急務」と指摘されている。
 
 

急激に変わる製造業の周辺環境

 製造業界でそのような課題認識がある中、2020年を迎え実世界の環境に大きな変化が生じている。まず、ICTインフラの部分では昨年のWi-Fi新規格の登場に続き、3月に5Gの商用サービスがスタート。通信インフラが進化したことで、IoT技術の活用がいよいよ現実化した。そして、もう一つは、このコロナ禍である。世界的な感染症の流行によって、われわれは今まさに物事のあり方が力づくで変えられていく様子を目の当たりにしている。

 ものづくりの現場では、中国に依存していた工場や生産拠点の国内回帰や他国への移転という流れが、コロナショックで加速している。さまざまな必要物資が国内で調達できない問題が露呈し、政府の緊急経済対策でも予算が盛り込まれ、否が応でも変わらなければならない状況に追い込まれている。

 コストや生産性向上、サプライチェーンの問題のみならず、感染防止対策として求められているテレワーク議論にも紐づく形で、人が現場に赴く回数や稼働する人数を減らす必要性も生じている。従来の正論・理屈ベースから、必要に迫られた形で工場改革、スマートファクトリー化が進もうとしているのである。

新たなものづくりスタイルの確立が必要に

 不幸中の幸いというべきか、足元を見ればICT環境とデバイスが高度化し、エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの連携によって、中小規模の工場でもデジタル化を実現しやすい環境になっている。製造現場としては、この苦境を生き抜くことが第一義であろうが、今後を生き抜いていくための新しいものづくりのスタイルを確立するには、まさに今は適したタイミングであるといえる。

 ものづくり白書が指摘するように、工場現場の中には活用されていない有用な情報がたくさんある。それらを拾い上げて有効活用することで、従来のような現場の効率化にとどまらないカイゼン活動が可能になる。

 例えばデジタル化が遅れている国内の食品製造業でも、課題である多品種少量生産工程の最適化、ロス削減や品質管理、不良品判別の高度化によるトータルコストの削減などの効果が見込める。さらには、市場の情報と連携し、ビッグデータとAIの活用によって消費者側の情報と生産者側の情報を比較分析して、限られたリソースの中で確実に売れそうな商品を多く生産するように調整することも可能になるだろう。

工場革新に求められるICT活用のノウハウ

 こういった工場のスマート化を支援できるのは、工場の外の世界の技術を知っているITサービス会社である。商機であるとともに、日本のこれからの経済を立て直し、支えていくための重責を担っているともいえる。まずはデータを活用するためのインフラを整えていくのがスマート工場への第一歩となるが、そのためには従来のOTとETという現場系技術にICTを加える必要があり、そこを補完できるのは、システムインテグレーションのノウハウと開発力を持ったSI会社にほかならない。
 

 すでに至る所で工場のスマート化への取り組みは始まっていて、それを支援するソリューションやエッジコンピューティングデバイスも各社が提供している。ここでは、Windows10を搭載したレノボ・ジャパンのIoTゲートウェイ「ThinkCentre M90n-1 Nano IoT」と、アステリアのIoTミドルウェア「Gravio」を使った中規模食品工場へのIoTソリューションの導入事例を紹介しているが、そこでSI会社が機能する姿を確認して、自社への取り組みへとつなげていってほしい。

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