監視カメラによるセキュリティソリューションを展開する昭電は、保全運用の省力化を求める企業ニーズにも応えるために、既存ソリューションの機能拡張と強化に着手。監視カメラで得た映像や環境音からの状態検知、生体認証方式による入退室管理などへの対応を進めている。さらに、クラウド型統合監視プラットフォームも提供を開始した。多様なデバイスから集めた信号やIoTデータをWebブラウザー上で可視化するサービスを展開している。

核となるSecurity Centerは約5万台の監視カメラを統合管理

 「昨年あたりから、セキュリティ用の監視カメラで保全運用を省力化したいという要望を受けることが多くなっている」と語るのは、昭電の八木祥人・執行役員・情報機器システム部長。同社のコアビジネスは、「雷害対策」「地震対策」「ネットワーク」「セキュリティ」「ファシリティ」の5領域だ。そのセキュリティ事業で提供している監視カメラシステムをさらにインテリジェント化すれば、リモート監視を実現したり、現場への出動回数も減らしたりできるという。
 
八木祥人
執行役員
情報機器システム部長

 そうしたインテリジェント化の主軸となるのが、同社のネットワークセキュリティソリューションである監視カメラ統合管理ソフトウェア「Security Center」(Genetec製)だ。このソフトウェアは、サーバー上で動作するもので、多様なメーカーのIP方式監視カメラについて約5万台までの同時接続に対応。フェデレーション機能により小規模、複数拠点のシステムを最終的に仮想統合できるため、段階的な運用拡張、設備投資ができるのもこのシステムの特徴である。

省力化に対応するための機能を拡張・追加

 このような特徴を持つセキュリティソリューションに、昭電はさまざまな機能を拡張・強化し始めている。

 まず、監視カメラによるサーベランス(監視)については最新の画像解析技術で監視作業の省力化・自動化を実現。具体的には、「プラグインソフトによるサーバー上での画像解析」と「AI機能内蔵型監視カメラでの画像解析」による実現である。「画像の変化を自動判定することで、『立ち入り禁止場所に人が侵入した』『物がなくなった』『物が持ち込まれた』といった事象を検知してアラートを上げる簡易的な解析から、限定的な条件で判断する解析まで含め、画像解析の活用領域は今後も広がる」と八木執行役員。最近はAI機能内蔵型監視カメラの解析能力も飛躍的に向上、そういったカメラの採用でサーバーへの負荷も最小限に抑えることができるようになってきたと説明する。

 昭電は雷害対策や地震対策の他、自然災害として近年の課題となっている洪水・冠水などの被害に対しても対策製品やシステムの提供を進めてきている。その中でも監視カメラと画像解析の統合システムは河川監視(水位・流量)などにおいて監視効果が期待されているソリューションである。

 また、マイク内蔵型監視カメラから集音した環境音の変化を自動判定する音声解析技術を監視に加えることにも取り組んでいる。例えば受電設備内の異常を、映像に加えて音の変化でも検知することで監視精度を向上させることが可能になる。“ジー”というノイズからデバイスの故障を検知したり、“ガサガサ”という音で人や動物の侵入を検知したり、といった活用である。

重要エリアでの入退室セキュリティ

 一方、物理セキュリティとしての入退室管理システムでは、非接触型生体認証デバイスとして、顔認証デバイスの「VisionPass」と指紋認証デバイス「MorphoWave Compact(モルフォ・ウェーブ・コンパクト)」の提供を始めた。いずれも認証システムとして高い技術を持つIDEMIA社(アイデミア社)の製品である。「VisionPass」は2D/リアル3D/赤外線の3方式のカメラと立体画像処理アルゴリズムにより、広い視野角で個人を正確に判定できるのが特徴だ。また、非接触型の指紋認証デバイス「MorphoWave Compact」は読み取り速度、精度、指紋データの秘匿性に優れたデバイスである。パンデミックで浮上した衛生懸念への対応としても魅力的だ。

 これら生体認証システムは、Security Centerで監視カメラと連携させることで“共連れ検知”の判定も可能となる。高い堅牢性が求められる重要エリアへの入退管理においてこの“共連れ検知”のニーズは高い。

 さらに、昭電ではカメラもさまざまな要件に応じて選定、提供する。電気や通信が確保できない場所には「GWモバイルカメラ」を提案する。太陽光パネル+バッテリーでの給電、画像データ転送はモバイル通信を採用、これらをパッケージとして提供する。監視カメラを設置するためのインフラ準備にかかる時間やコストが削減できるため、最短で運用開始したい利用者の要望にも応えることができる。バッテリー、モバイルデバイスなどを収容するボックスは特別な樹脂を採用した全天候型のものであり、昭電にて開発、製造した自社製ボックスである。システム提供だけでなく、ファシリティメーカー、施工会社として複合的に提供できるところも昭電の魅力である。
 
GWモバイルカメラ

 この他、昭電はクラウド型統合監視プラットフォーム「KebinCloud(ケビン・クラウド)」のサービスも開始。KebinCloudの最大の特徴は、多様なデバイスが発する信号やIoTデータを集めて可視化できることだ。八木執行役員は、「当社が販売した製品だけでなく、企業がすでに設置済みのセンサーやIoTデバイスなど、さまざまなデータを収集してWebブラウザー上に表示できる。また、異常検知をメールやLINEで通知することもでき、監視運用の効率化・省力化にもつなげることができる」と胸を張る。昭電オリジナル製品である落雷検出装置を接続した場合は、雷撃の電荷量などの詳細な情報も取得・表示が可能である。自社オリジナル製品をこのサービスと連動させることでさらに製品の付加価値を高めていきたいようだ。
 
KebinCloud概要
 高齢者雇用安定法の改正施行に伴って高齢労働者の比率が高まり、働き方改革やパンデミック対策のためのリモート作業の増加。そうした状況下においてセキュリティの確保や保全現場の効率化・省力化は継続的な課題として取り組みが必要になってくる。そこに昭電のセキュリティソリューションは不可欠なツールとなることだろう。