セキュリティに対する要請が社会全体で高まる今、重要施設を災害やサイバー攻撃から守るためのソリューションが求められている。その一つが、IPカメラで施設の状況をリアルタイムに監視するソリューション。もう一つが、社会インフラを支える制御システムへの外部からの侵入を防ぐ制御セキュリティソリューションだ。この二つの領域をともにカバーしていることが、昭電の強み。デモセンターのソリューションラボも2019年にオープンした。

数万台規模のIPカメラを統合管理、画像解析や入退室管理とも連携可

 昭電の創業は1965年。主な事業分野は、雷害対策・地震対策・ネットワーク・セキュリティ・ファシリティの五つ。特に強みを持つ商材は、情報通信などの社会インフラを守るための防災・防犯・感染症対策ソリューションがある。

 その昭電がソリューションラボを東京都江東区にあるSCセンタに開設したのは、19年10月のこと。八木祥人・執行役員情報機器システム部長は、設置の経緯を「監視やセキュリティの環境を構築しようと考えているお客様に向けて、当社のソリューションがどのように使えるかを具体的にイメージしていただくためのデモセンターとして開設した」と語る。
 
八木祥人
執行役員情報機器システム部長

 ソリューションラボには、「セキュリティサーベランス」と「制御セキュリティ/サイバーセキュリティ」の2種類のソリューションがすぐにデモできる状態で用意されている。

 監視系ソリューションであるセキュリティサーベランスの核になっているのは、「Genetec Security Center」(Genetec製)と「Barco UniSee」(Barco製)の二つのシステム。IPカメラなどのIT機器から送られてくる情報をGenetec Security Centerで統合管理し、Uniseeの55型液晶ビデオウォール(マルチディスプレイ)で大きく表示する仕組みだ。

 「Genetec Security Centerはマルチベンダー対応のVMS(Video Management System)として、世界100社以上のIPカメラを自由に接続できる」と説明するのは、加藤拓也・技術ソリューション推進室次長。接続できるカメラは数万台規模と多く、ドアホンやウェアラブルカメラなどとも接続できるという。
 
加藤拓也
技術ソリューション推進室次長

 さらに、外部システムとの連携も可能だ。「最近、はやっているのは顔認証や不審物検出などの画像解析システムと組み合わせる使い方。また、入退室管理システムとの連携では、電気錠をコントロールルームから解錠・施錠したり、カードゲートにICカードをかざして通過した時のデータをサーバー側でログとして記録したり、といったこともできる」と加藤次長。防災関係では、監視システムが発した警報を電話やスピーカーホンにブロードキャスト(一斉同報)する仕組みもGenetec Security Centerで作れると付け加える。
 
Genetec Security Center

既存カメラの統合だけでなく新規カメラの導入もワンストップで提供する。自然エネルギーで駆動、モバイル回線で映像伝送が可能な独立型カメラ「GWモバイルカメラ」や、数十キロメートルまでの閉域IP通信が可能な広域無線システム(4.9GHz)を利用した映像の取り込みなど幅広く対応している。

 また、あるエネルギー関連企業では施設・設備の定期巡視にセキュリティサーベランスを活用。画像を添付したメールを定時送信して確認させる運用法に変えることによって、保安員の作業効率を高めることに成功している。

片方向通信とメディアのウイルスチェックで制御システムを守る

 一方、制御セキュリティ/サイバーセキュリティは、社会インフラの制御システムを守るためのソリューションとなっている。

 最も特徴的なのは、プラント・工場の制御系と本社・支店の事務系を結ぶネットワークの流れを片方向に制限する「Fox DataDiode」(Fox-IT製)という製品だ。ポイントは、物理レベル(OSI参照モデルのレイヤー1)でデータの流れを制限する仕組みになっているので、制御システムへの外部からの侵入を完全に防げること。「4年ほど前にFox DataDiodeに目を付け、17年に取り扱いを開始した」と加藤次長は説明する。

 また、制御システムを“見える化”するためのシステムに「Nozomi Guardian」(Nozomi Networks製)を採用した。Nozomi Guardianは、制御システムのネットワークに接続されている機器の一覧と通信データ量を自動取得・学習した上で、セキュリティインシデントや処理速度低下を検知すると自動的に警告を発する可視化および兆候監視のツール。ファイアウォールなどと連携することで不正アクセスの抑止にもつなげることができる。セキュリティ管理のための工数を軽減する効果にも期待が持てそうだ。

 このほか、「MetabrosKiosk」(OPSWAT製)と呼ばれる装置を使うと、社会インフラの重要施設にメディアで持ち込まれるファイルのウイルス検査が可能。「最大33種類のウイルス検知エンジンが共同で検査を行うため、システム更新作業で持ち込むUSBメモリなどのメディアを媒介して侵入するウイルスも確実に除去できる」と加藤次長は胸を張る。

 「当社は、基本的にメーカーの立ち位置。防災にも防犯にも対応できる企業として、さまざまな技術を複合化したセキュリティソリューションを、社会インフラを支えるお客様に提供していく」と八木執行役員。

 さらに、両ソリューションにつながるラインアップの拡充にも熱心に取り組んでいる。今、特に力を入れているものとして八木執行役員が挙げるのは、体温が高い人をサーマルカメラで素早く確実に見つけ出す「発熱監視システム」。防疫対策としてのシステムである。生活を安心・安全なものとするためにも、同社のセキュリティソリューションは、これから重要な役割を果たすことになりそうだ。