山崎製パンは、2013年にメインフレーム系基幹システムをオープンシステムで再構築した。同社コード管理センターでは、それに合わせて紙ベースで行っていた製品コード管理の効率化を目指し、ローコード開発ツール「GeneXus」を活用して製品統合マスタシステム「ASCA」を自社開発した。新商品発売を支えるASCA開発において工数を3割以上削減し、低コスト開発を達成。内製化により、いち早くユーザーニーズを反映できるシステムを実現している。

製品統合マスタシステム「ASCA」

自社開発でコスト削減を目指す

 山崎製パンは、13年に工場ごとのホストで分散稼働していた基幹システムを刷新。受注から請求までの基幹業務を担う新たな基幹システムをオープンシステムで構築した。

 「基幹システムの再構築と同時期にコード管理センターとして立ち上げたのがASCAの開発プロジェクトで、その際、情シスとともにSIベンダーに紹介されたのがGeneXusだった」とコード管理センターの田邉智己室長は振り返る。

 コード管理センターは、商品に付けるJANコードや社内用製品コード、取引先店舗コードを一手に扱う部署。ASCAは基幹システムの一部であり、非常に重要なマスタ管理にかかわる処理を担っている。パンのほか菓子や弁当などを含めると、月に1000品目以上の新商品を登録している、まさに屋台骨の一角に位置付けられるシステムだ。現在は、10万品目以上がマスタに登録されているという。

 「特に新製品を売り出すための申請書から付番、その管理などのプロセスをワークフロー化して、業務をより簡略化することを目的に開発を目指したのがASCAで、以前は紙ベースで管理し、コード管理センターのメンバーがホストに手入力していたので、かなりの手間と時間を要していた」と、コード管理課の森山泰典課長は説明する。

 プロジェクトを立ち上げたのは11年。当初は開発をベンダーに委託することとし要件定義からスタートしたが、開発コストが予想以上の金額になることが判明。コスト削減の方策として内製化を検討する中で、すでに情シスが使用していたGeneXusを採用することにした。

 「GeneXusを採用した一番の理由は、業務知識があれば開発が可能という点で、業務要件を入力するだけでアプリケーションやデータベースを自動生成する。加えてジェネクサス・ジャパンや開発パートナーの手厚いサポート体制も大きな安心材料」と田邉室長は評価する。

 以前より、システムの自社開発を基本としてきた山崎製パンだが、コード管理センターは情シスと異なり人数も少なく、プログラミングの知識に長けたメンバーがそろっているわけでもない。特に今回は、基幹システムの刷新と同様にオープン系システムの開発となり、経験・知識不足も課題となった。

内製化でユーザーの声を反映

 「GeneXusを採用したことで、当初計画していたスクラッチ開発と比べて工数を約3割は削減できた。しかも、初めての開発でありながら少ないメンバーでスケジュール通り14カ月で開発を完了したことで、コストも工数も削減できている」と森山課長は成果を語る。

 実際に、GeneXusによる開発を手掛けたコード管理課の髙山恵理子氏は、次のように評価する。「当時、私はExcelのマクロくらいしか触ったことがなく、システム開発の経験はなかったので、実質ゼロからのスタートだった。それでも、業務要件に関する必要な項目を登録していくだけで、勝手にアプリケーションを自動生成してくれる。そのため、ユーザーのさまざまな要望に対して非常に短いスパンで、対応することができる」としている。
 
コード管理センター
コード管理課
髙山恵理子氏

 ユーザーも具体的なシステム画面を見ないと、頭の中で描いていた要望通りのものになっているのか、判断できないことも多い。

 「もし、ベンダーに開発を委託した場合、やり取りが間接的になるため、要望と実際のシステムとの間に齟齬が生まれやすくなると思う。GeneXusでは、私たちがとりあえず作成してユーザーに確認してもらい、イメージと異なるならその場で手を加えることも可能なので、齟齬のない、完成度の高いシステムが実現できる。こうしたメリットを考えると、GeneXusは真の意味でユーザー目線に立つ製品だと思う」と髙山氏は強調する。

 一方、以前は情シスに所属し、多くのシステム開発経験を持つコード管理課の大村泰之氏は、「個人的にはGeneXusはVBに近い感覚で使用できると感じている。特に使い勝手においては、SQL文が不要でデータベース周りの設計をすべて任せられることが大きい。かつて情シスで開発を手掛けていた際は、データベースの連携や項目の設定で苦労した経験があった。また、一度走り出すとインターフェースの修正はかなりの手間だが、それもGeneXusが代行してくれるため、考慮せずに済む」と語る。
 
コード管理センター
コード管理課
大村泰之氏

 特にメリットを感じるのはリファレンス機能という。「該当する項目が、どこにどのように使われているのか一目で理解できるので、影響分析も容易」と大村氏は話す。

 加えて、ヒストリー管理についても、大変役立っていると評価する。大村氏は、「システム改修が上手くいかなかったとしても、ヒストリー管理により問題の無いバージョンにワンクリックで戻すことができる。これをスクラッチ開発で行うとなれば、調査だけで多くの時間とコストが必要になってしまう」としている。

 約10年にわたって、GeneXusを使い続けてきたコード管理センターでは、ASCAのほかにもコミュニケーションツールや製品案内をする掲示板システムなど、これまで四つのシステム開発にも、GeneXusを採用してきた。

 「現在、店舗系のマスタシステムの開発を進めているが、その開発にもGeneXusを採用する予定」と、森山課長は今後の抱負について語っている。
 
■DXに関する取り組みへの興味・関心度アンケート
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