ダイワボウ情報システム(DIS)は、全国の販売パートナーを通じたIT製品・サービスの提供によって、地域の課題解決に取り組んでいる。各地の会場で対面形式で開催される各種イベントは、IT導入のメリットや効果を、顔の見える形で地域に伝える重要な場となっている。本連載では、DISが開くリアルイベントの熱気や関係者の生の声を、紙面を通じてお伝えしていく。第2回は、10月21日、群馬県高崎市のGメッセ群馬で開催された「DIS ICT EXPO 2025 in 群馬」の模様をお届けする。
群馬県高崎市。県下では「新・ぐんまDX加速化プログラム」が行政主導で進み、
「日本最先端クラスのデジタル県」を目指している
ユーザー、販売パートナーが顔を合わせて対話を深める
世界文化遺産である富岡製糸場に代表されるように、製造業の歴史が深い群馬県。ICT EXPOの会場でも作業服姿の来場者が目立った。ユーザー企業やDISの販売パートナーが密にコミュニケーションできる場となり、課題を聞き取ったり、今後の企業経営におけるIT活用の方向性を共有したりと、活発な対話が会場内の各所で生まれていた。
会場のGメッセ群馬
80社以上が出展し、91の展示ブースには、PCや周辺機器などのハードウェアからアプリケーションなどのソフトウェアまで、幅広い製品・サービスが軒を連ねた。製品種別ごとにエリアが分かれ、先進技術を体感、比較する機会となった。
中でも関心の高いテーマとなっていたのが、セキュリティー分野だ。各社がブースで製品の展示を繰り広げ、特別講演やセミナーにも多くの来場者が参加しており、対策が喫緊の課題となっていることが伺われた。講演ではサイバー脅威や対策の基本的な解説、セミナーはSASE(Secure Access Service Edge)のデモを行った。
講演やセミナーにも多くの来場者が参加
AIもイベントの中心だ。この日3回開催された「Copilot&Copilot+ PC体験会」は、いずれも早々に満員となった。企業がすぐに活用できるAI技術の実例として、各社ソリューションへのAI機能の搭載も注目を集めた。
企業とパートナーの経営課題を解決 地域のDX推進の黒子役に
近年は製造業のサイバー攻撃被害が大きく取り沙汰されており、そのリスクはもはや「対岸の火事」ではない。一方、老舗企業が多い群馬では、デジタル技術との向き合い方に悩む声も少なくない。県内に拠点を持つDISは、物理的な距離の近さを生かしてフォローやサポートを展開。地場の販売パートナーの間では、ユーザー企業のセキュリティーを今すぐ支援しなければという危機感が高まっている。
また、紙ベースの工程管理や情報共有など、製造現場ではアナログ業務がまだまだ残っている。これを、単にデジタルツールの導入にとどめず、経営課題の解決につながるDXの実現を目指すことも、DISが掲げる方向性だ。
販売パートナーが抱える課題解決にも取り組む。担当者の高齢化が進むとともに、群馬でも首都圏を含む他地域との人材獲得競争が激しくなっており、この先、エンドユーザーへの提案などの業務に十分な人員を割けなくなるおそれがある。そこでDISは、支援体制の拡充によりパートナーのリソースを補完している。群馬の拠点でも、製品価値や機能を簡潔にまとめた提案資料を作るなどして、販売パートナーが海外発のものも含め最新のセキュリティー製品やクラウドサービスを無理なく提案できる環境づくりを進めている。いわば、地域のDX推進の黒子役を担う形だ。
賑わう会場内ではその場で商談が進むシーンも
提供価値を具体化できるDISのソリューション 地方社会に対応する通信の活用を提案
DISの展示ブースの中で、地方社会に対応したテクノロジーの活用シーンを提案していたのが、通信サービスの「DIS mobile」だ。
DIS mobileでは、法人や団体向けにPC本体と4年間の通信サービスをセットにし、データ容量無制限で利用できるモデルを用意。販売パートナー側はPCと通信を別々に手配する手間を省きつつ、「外出先でオンライン会議を開く」といった具体的な利用シーンを出発点に提案を進められる。
「DIS mobile」のブース
通信環境の格差や労働力不足が顕在化する地域社会に対し、場所を選ばない働き方や現場業務の効率化の価値を生み出し、デジタルデバイド解消と地域産業の活性化に貢献するソリューションになっている。
通信をからめたソリューションでは、クラウドと連携するウェアラブルカメラも提供。接客業におけるカスタマーハラスメント対策として活用が期待されている。録画データをクラウドにアップロードすることでAIによる解析が可能となり、データの管理も効率化できる。
週刊BCN記者が聞く来場者の声 「提案に効く」情報がここにある
来場者への取材からは、群馬県内に加えて周辺県からも、DXを軸にビジネスチャンスを求めて会場に足を運んでいる実態が浮かび上がった。
埼玉県から来場した販売パートナーの50代男性は、特別講演でAIの活用ノウハウを学んだ。主要顧客の建設業に関しては「DXが比較的遅れている」ものの、グループウェアなどのコミュニケーションツールの関心が高いと実感している。「バックオフィス系の商材の提案にも取り組みたい」と展示ブースに向かった。
群馬県の20代男性は文教向けの案件を手掛けている。校内データの保護にあたり、セキュリティーをどう確保するか情報を集めていた。「ランサムウェアの脅威は身近になっている。提案に役立てたい」と語り、管理の手間が少ない製品に目を止めていた。
また、ユーザー企業からも多くの来場があった。県内の建築金物の製造・卸業の男性は、社内DXについてDISのパートナー企業に相談してきたが、クラウドサービスに実際に触れられる今回のイベントの開催を心待ちにしていたという。会場で得た情報をもとに、導入の検討を進める考えだ。
地域のDX人材育成に貢献したい
地方のDX推進における最大の課題は人材不足だ。DISは会場で同社「DX教育サービス」のコーナーを設け、DX人材の育成も支援していることをアピールした。また、篠祐介・係長は「県内のパートナーのブースでは中小企業向けのIT人材育成サービスが訴求されていた」と紹介。地元でも“人”の課題解決に向けた動きは活発化している。
東日本・広域営業本部
関東北信越営業部 高崎支店
篠 祐介係長
群馬県は2022年から実施されている「群馬デジタルイノベーションチャレンジ」などを通じ、若者向けのIT教育に力を入れる。篠係長はこのような動きにも歩調を合わせ、「地域のDX人材育成に貢献していく」と意気込みを語った。
県内隅々への提案が責務
群馬県での「ICT EXPO」は今回が初開催だ。開催地の峯野和人・高崎支店長は「県内開催だからこそ参加できた方もいた」と話し、販売パートナーによるユーザーの招待にも感謝した。
会場では喫緊の課題に対する解決策の提案に力を入れた。AI-OCRやセキュリティー製品には特に引き合いが多かったといい、「企業が業務負荷やサイバーリスクなど課題に直面している現状を反映している」と分析。
東日本・広域営業本部
関東北信越営業部 高崎支店
峯野和人支店長
峯野支店長は「人手不足解消や業務効率化などで、多くの企業の発展に協力したい。県内隅々まで提案を届けることが我々の責務だ」と力を込めた。