11月12日の基調講演にはブリッジソリューションズの阿部満代表取締役が登壇。「デジタル化の動向とIT利活用による生産性向上支援のポイント」をテーマに講演した。
ブリッジソリューションズ
代表取締役
一般社団法人 AI・IoT普及推進協会
代表理事兼事務局長
阿部満氏
経済産業省による指導もあり、DXは進みつつある。「だが、欧米と比較すると、日本は守りのDXだ」と、阿部代表取締役。欧米企業がDXで売り上げ・利益・シェアを高めているのに対して、日本での成果は費用削減や期間短縮にとどまると指摘する。その背景にあるのが、「経営層の理解不足」「現場の抵抗」「目的なきIT投資」「情報共有の欠如」「人と仕組みの育成不足」の五つの要因だ。
それでも、DXに成功している国内企業は存在する。阿部代表取締役は、DXグランプリ2025を受賞した企業の事例を紹介し、「DXの本質は『人と文化の醸成』にある」と話し、業務プロセスの変革とデータ戦略の立案がポイントになるとした。
DXを成功に導くための具体的な方策として阿部代表取締役が挙げたのは、「企業自らの取り組み」と「IT企業による支援」である。
企業自らの取り組みとして重要なのは、DXによる経営改革の目的を明確にして「組織改革」「事業改革」「人材改革」「財務改革」「デジタル改革」を断行すること。短期的な「経営改善」ではなく、中長期を見据えた全社的な「経営改革」を目指すことがポイントだ。一方、顧客企業にDX関連の支援を提供するITベンダーやコンサルタントには、ビジネスアーキテクトの役割を果たすことが求められる。具体的には、戦略立案、システム最適化、ビジネスモデルの策定、ビジネスプロセスの設計などの支援だ。
その際に留意しなければならないのは、かつての常識が現在では通用しなくなっていることである。「顧客はITの導入ではなく、経営の成果を求めている」と阿部代表取締役。このほか、「一緒に考えてくれる共創パートナー」「全体最適化」「製品価値よりもCXやEXなどの経験価値」「スピードと柔軟性」なども顧客の主要な関心事だという。
実際の支援作業では、まず、目標設定(To-Beモデル設計)で定量的目標を設定。次いで、業務改善の重点領域を選び出し、AI、IoT、ロボティクスなどをどこに適用するかを決めていく。
それに続く現状把握(As-Is分析)では、業務プロセスのマップを作成して課題を抽出するとともに、KPIを策定。新しい業務プロセスを設計してIT・DXツールを導入し、担当者への教育・研修を経てリリースすることになる。確実に定着させるには、効果を測定して現場にフィードバックすることも重要だ。
「ITベンダーやコンサルはソリューション提供者から成果創出型のパートナーへと進化しなければならない」と、阿部代表取締役。それによって日本企業は再生・成長していくだろう、と述べた。