レコメンドに特化したベンチャー企業、ALBERT(アルベルト)が業績を伸ばしている。消費不況のなかでもネット通販は堅調に推移。顧客が求める商品を提案し、購買につながりやすくするレコメンド機能は“接客”に相当する重要な部分だ。将来的にはネット通販と広告、ユーザーニーズを高精度でマッチングさせるレコメンドソフトの開発も視野に入れる。レコメンドに特化した研究開発力もさることながら、世界的な経済危機に直面しても果敢に立ち向かうベンチャー精神が最大の武器である。
安藤章司●取材/文 ミワタダシ●写真
レコメンドは“接客”に相当
──ネット通販などで使うレコメンド(推奨)ソフトに特化して実績を伸ばしていますね。
上村 ネットの世界においてのレコメンド機能は、グーグルなどのインターネット検索と並んで重要なんです。いかに自分に“必要な情報だけ引き出すか”という点ではレコメンドと検索は似ていますが、アプローチの仕方が大きく異なります。検索はキーワードをもとに探しますが、レコメンドはユーザーとの対話のなかから最も必要と思われる情報や商品を推奨します。現実の店舗で言えば“接客”に位置づけられる。ネット通販では接客の要素が十分でなく、無機質になりがちなのです。レコメンドを充実させることで、ユーザーはあたかも店員と対話しているような親近感を感じられます。
──レコメンド機能はネット通販大手のアマゾンなどで古くから装備されていて、お馴染みですよね。
上村 商品をクリックしたり、購買した履歴にもとづいてレコメンドする機能は、すでにアマゾンなどで一般化していますが、実はそれだけではないんですね。たとえば、「春らしいワンピースが欲しい」など、曖昧な要望に応えるレコメンドや、色や模様、形などの類似品を推奨するタイプ、ユーザー自身が推奨するCGM(ユーザー参加型メディア)型などさまざまなのです。これからのネット通販は、こうした多様なレコメンドが求められる。当社は創業4年目のベンチャーですが、これまでおよそ90社、100サイトに納入した実績があります。
ユーザー企業の多くには、アマゾン型の“履歴レコメンド機能と曖昧なニーズに応える機能”の組み合わせ、あるいは“履歴レコメンドと類似品を探し出す機能”などの組み合わせで採用していただけるケースが多い。レコメンドに特化している当社ならではの品揃えが評価されていると捉えています。
──どのようにして開発しているのですか。さまざまな種類のレコメンドソフトがあることは分かりましたが、研究開発費の資金力から見て、国内外のソフト開発大手には太刀打ちできませんよね。
上村 ベンチャーは特定分野で差別化要素の大きい商品を開発しないと生き残れません。大手がレコメンドソフト分野に少し投資しただけで、吹き飛ばされてしまいます。当社がいくら研究開発型ベンチャーであり、レコメンドソフトの開発に特化しているといっても、自力では限界があります。そこで、目をつけたのが大学や専門機関との連携です。
徳島大学とは、商品写真の色などから類似性の高い商品を探し出す機能を共同開発していますし、日本カラーデザイン研究所とは、色の持つ印象をベースに類似性を見出す仕組みの研究開発を推進中です。一部機能については、当社商品への実装を始めています。
これまでは、商品写真の色や模様、形などさまざまな付帯情報を入力しないと、後から検索するのが困難でした。新しい技術を使えば、商品写真から自動的にデータベースが生成されますので、付帯情報を付け加える手間が大幅に削減できます。ユーザーは、例えば、「自然で、若々しいネクタイを父の日にプレゼントしたい」といった、心理的なイメージワードをもとに商品を探し出すことが可能になります。「自然」や「若々しい」といった曖昧なイメージに合致した色をもとに類推する技術です。
ベンチャーで働く意義は、ビジネスを自らドライブする実感が得られること。挑戦する者だけが、成功を手にできる。
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