開発・統合ツールで年々業容を拡大するマジックソフトウェア・ジャパンは、リッチクライアントとクライアント・サーバー(C/S)環境を一つのツールで開発できる「Magic uniPaaS(ユニパース)」で、システム開発に一石を投じようとしている。業界初のツールで、クラウド・SaaS時代に備えるユーザー企業やSIerなどへの浸透を狙う。今年8月に就任した佐藤敏雄社長は、「一気にパートナーを獲得したい」と、同ツールなどでパートナー体制を強固にしていく考えだ。
モバイルアプリの開発スムーズ
──社長就任から3か月が経過しました。まず、当面取り組むべきことは何だと考えていますか。
佐藤 短期的には、「基本に帰ろう」ということを掲げています。社員に自社製品の優れている点を再認識してもらうためです。製品に惚れなければ、自信をもって売れません。実際は惚れているのでしょうけれど、長年やっていますと、夫婦関係と同じで飽きがきます。ただ、外に出ると自社製品の良さを再認識します。それらを吸収しつつ、ここで改めて「基本に帰ろう」としているのです。
──なぜ、「基本に帰る」のでしょうか。うがった見方ですが、「基本ができていなかった」とも受け取れます。
佐藤 本来の製品の良さをPRすることを忘れていたからです。長年、営業展開していると、相手先が当社製品を理解しているものと勘違いして接してしまう。要は、あらためて基本的な製品の良さをしっかり訴求したいということです。
また、当社はパートナービジネスを柱にしています。パートナーから当社への意見を再度ヒアリングし、吸収し、できるところから取り入れていこうと考えています。「基本ができていなかった」のではなく、全体として「基本の深掘り」をしようとしているんです。
──基本に立ち帰り、競合関係が厳しくなるなか、勝負をかける製品は…。
佐藤 当社の製品は、大きく二つの系統に分かれます。統合アプリケーション開発ツールの「Magic uniPaaS(ユニパース)」と、EAI(企業システム連携)/BPMツールの「Magic jBOLT(ジェイボルト)」。この二系統で戦っていきます。
──「uniPaaS」は、約2万4000社のユーザーを抱えていた「eDeveloper(ディベロッパー)」のコンセプトを新しくした製品だそうですが、どんな特徴があるのでしょう。
佐藤 「uniPaaS」の強みは、モデルベースの開発にあります。いわゆるリポジトリ(データ・情報、プログラムなどを体系的に保管する場所)をベースとした開発と統合的な環境です。
とくにWebアプリケーション(リッチクライアント)の「RIA(Rich Internet Applications)」のクライアントとサーバーの両方を統合できるのは、業界初。ますますモデルベース開発ツールの強みを発揮できるようになります。
──企業システムの開発環境は、どのように変わるのですか。
佐藤 いままでは、サーバーとクライアントを別々に構築する必要がありました。クライアント/サーバー(C/S)で構築したモノがRIAになるんです。今年12月に発表する次期バージョン(バージョン1プラス)は「Windows Mobile」に対応する予定で、スマートフォンなどで動作するWebアプリケーションを、「uniPaaS」だけで開発できるようになります。自慢になりますが、世界で当社だけですし、本当にすごいんですよ。すでに、ハンディターミナルのソリューションをもつ複数のSIerで評価・検証が始まっています。
──Webアプリケーション開発を、わざわざC/S開発と別に行う必要がなくなるわけですね。
佐藤 そうです。昔は「C/Sはマジック」で、Webアプリケーションは違う言語での開発でした。ところがリッチクライアント製品を出したことで、いまは「Webアプリケーションならマジック」という流れになっています。
「uniPaaS」一つのツールでWebアプリとC/S開発が同時にできます。自慢ですが、世界で当社だけですし、本当にすごいんですよ。
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