パートナーの獲得に注力する
──これまでとは違う、いわば新規参入層に対して、どう売っていきますか。
谷本 OEMという形態があります。SaaSの提供方法に関しては、具体的に数社からプロポーズをもらっています。それとは別に、エンジンだけの小売りも行います。大手SIerさんに担いでいただいて、エンジンとして入れてもらう可能性を探っていこうと考えています。
今、「SuperStream」でコンサル系のパートナーはほとんどいないんですよ。ですので、コンサル系のパートナーにお手伝いしていただくと売りやすくなります。これまでの当社は、どうしても300億円から500億円という中堅向けのイメージが強いのですが、会計に特化したところだけを提供して、周りのところは大手SIerにつないでもらえばいいじゃないか、ということです。
中小企業向けではキヤノンマーケティングジャパンのエリア担当部隊がありますから、彼らがもっている1万6000社のパートナーをうまく活用していきます。来期からは動き始めたいと考えています。
──パートナー企業はマルチベンダーで、ほかのERPも担いでいます。競合と並んだなかで、どのようにメリットを打ち出していきますか。
谷本 まず、あまりパートナーに対して「キヤノン」を強調していません。ただし、キヤノンのもっている豊富なソリューションをあわせて提供できます、という話には乗っていただいています。例えば、キヤノンのドキュメントソリューションをあわせて販売できますよ、と。そうすると、お客様に対するパートナーの提案の幅が広がります。大きな魅力だと感じていただけると思いますね。
また、11月に組織替えをして、パートナーから安心感が生まれたという声も聞きました。これも一つのメリットかもしれません。1月にはキヤノンITソリューションズからコンサルティング部隊を、今度は逆にSSJに送り込む計画です。それもドキュメントだけでなく、もう少し幅広く説明することができる人材をまずは数人揃えようと考えています。
──現在、約70社のパートナー企業を抱えておられる。これからのパートナー戦略構想をお聞かせ下さい。
谷本 「SuperStream-NX」については、新しくパートナーを募集しようと考えています。12月からは新しいパートナーの募集を開始します。もちろん既存のコアのパートナーに引き続き販売していただけるのがベストです。大阪で1回、名古屋で1回、東京で2回、すでに既存のパートナーには先月から説明会を開催しています。新しいパートナーの開拓に向けては、私をはじめ役員が個人的に売り込みをかけています。4月の末には、新規のパートナーの総会を開く予定です。
──どれくらい伸ばそうとお考えですか。
谷本 今年の3月で、累計5400社の導入実績があります。私の目標は3年後で8000社なんです。周囲からは背伸びしすぎなんじゃないかという意見も頂戴していますが、決して無理な数字じゃないと思っています。
眼光紙背 ~取材を終えて~
信条として「誠実、信頼」を掲げるように、語り口は丁寧で温厚な印象を受ける。話を聞くと、社長就任からわずか数か月で大きな組織変更の陣頭指揮をとってきた「決断力」を兼ね備えていることが分かる。
谷本社長は、キヤノングループの一員だからこそ発揮できる強みがあると、強調する。
従来のパートナー企業を生かしつつ、キヤノングループのソリューションも併せて提供。エス・エス・ジェイにとって「パートナーさんは宝」と表現するように、既存のパートナー強化に余念がない。11月には組織変更で完全に販売活動に特化することとなった。1月にはコンサルティング部隊も組織する予定で、着々と準備を進めている。3年後には導入実績を累計8000社にまで拡大するという「SuperStream-NX」の販売目標を聞いたとき、大風呂敷の印象を受けた。だが、「決して無理な数字じゃない」という言葉には説得力がある。(宮)
プロフィール
(たにもと よしお)1949年1月11日生まれ。71年、住友金属工業入社。約17年間、鹿島製鉄所でシステム開発に従事。00年、住友金属システムソリューションズ(現キヤノンITソリューションズ)執行役員ネットワーク事業部長。08年、エス・エス・ジェイ取締役。同年、キヤノンITソリューションズ取締役執行役員ソリューション推進本部長。09年3月、エス・エス・ジェイ代表取締役社長に就任。
会社紹介
エス・エス・ジェイは会計パッケージの専業メーカー。「SuperStream」はこれまでに累計5424社にのぼる導入実績を積み上げてきた。年商300億円から500億円規模の企業を対象にしていたが、「NX」で下は50億円から上は1000億円まで幅広く拡販していく新たな戦略を打ち出した。「NX」は、完全Web化やSOA採用など、現在の潮流に乗った製品だ。谷本社長は3年後には8000社への導入目標を掲げている。