中期経営計画(2012年3月期まで)で連結売上高400億円を目標に掲げる。数字は控えめだが、近年の取り組みで着実に経営の基盤を固めてきた。吉野社長CEOが音頭を取り、構造改革を断行してきたのだ。ここにきて、新事業の展開を加速化させようとしている。ヘルスケアやネットビジネス、データセンター、「GRANDIT」など4分野への経営資源の集中がそれだ。海外展開の強化も見据えている。
思い切った構造改革を断行
──2010年3月期の連結決算では、減収増益となりました。ユーザー企業のIT投資抑制の影響で、ソリューション事業の売上高が伸び悩みましたね。
吉野 正直、08年のリーマン・ショックの影響で、09年はかなり売り上げが落ちるとみていました。ですが、それ以前にスタートしたプロジェクトがあって、それほど落ち込みはひどくありませんでした。実績も出てきて、企業として自信をもてるようになった印象があります。
──これまで、どのような手を打ってこられたのでしょうか。
吉野 個別の事業についてメリハリをきかせてきました。収益率の低い事業に関しては思い切った構造改革を断行しました。極端なケースでは、人員を一挙に減らしました。とはいっても首を切ったわけではなく、別の事業に人員を移して、身軽にすることで利益が出るようにしました。利益を出すには、儲かる事業をもっと儲かるようにするよりは、損を出している事業の損失を減らすほうが即効性があります。収益面でマイナスだった事業を底上げしたことで、業績を安定させることができました。
そのほか、プロジェクトマネジメントを強化して、赤字プロジェクトの根絶を目指しました。10人単位の組織で、緻密なリスク評価を実施しています。今のところ、これがうまい具合に回っている。確かに一時的にはコスト増となりますが、赤字プロジェクトを減らせば、それだけの分が取り戻せます。人員削減というと、無能の烙印を押されたかのごとく受けとめる管理職がいますが、そんなことはありません。人員の削減ができない事業部の責任者の代わりをやってあげているのに、なぜ感謝してくれないんだ、と思いますよ。
──前中期経営計画(06年3月期~08年3月期)では、連結売上高500億円を目標に掲げ、結果は未達でした。それを踏まえての新中期経営計画では、12年3月期で400億円。少し控えめな数字の印象があります。
吉野 チャレンジするのはよいことですが、株式を公開している立場上、宣言したことは確実に達成したいという思いがあって、通期の予想についても保守的な数字となっています。今期は減収減益にしているけれども、これはあくまでもボトムライン。ここから頑張っていくことが重要です。社内の目標はもっと高いですよ。中期経営計画については、やりきる自信があるし、やるんだという強い意識をもっています。
中期経営計画については、やりきる自信があるし、やるんだという強い意識をもっています。
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