中国成都市に本社を置く中国ITベンダーの成都ウィナーソフト(成都維納軟件)有限公司。2006年の設立当初から日中間の架け橋になることを標榜し、日本国産のIT製品を中国に展開することを主眼に事業を拡大している。メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS)が中国に展開するにあたって「SaaSプラットフォーム」構築に尽力したベンダーでもあり、手を組む相手として信頼できる。そんな同社の代表者である周密・総裁兼CEOは、両国をまたぐ活動として何を考えているのかを聞いた。
日中間の交流で生まれるビジネスチャンス
──日本のIT業界では、まだ「成都ウィナーソフト」の存在を知らない人も多いと思いますので、まずは、現在の事業内容と得意分野を教えてください。
周 私たちは、当社を「IT総合商社」と標榜しています。中国政府がIT産業発展を推進するなか、中国内のIT業界は技術畑のベンダーが多く、技術力や製品力を売りにしています。しかし、中国のIT業界では、ビジネスを組み立てて事業化しているベンダーがほとんどありません。そのため当社では、商社的なファンクションを担う存在になることを目指しています。
──「商社的なITベンダー」でありながらも、ソフトウェア開発などの機能は備わっていますね。
周 はい。ホールディングス体制を敷いていまして、ホールディングス本体の成都ウィナーソフトでは、事業会社への投資・運営を主に展開しています。その傘下にある事業会社では、「オフショア開発」「ソリューション・プロバイディング」を中心に、関連事業として「国際交流・イベント」「職業技能トレーニング」などを手がけています。
──現在、御社の主力事業は何ですか。
周 とりわけ大きいのは、中国内の業界向けソリューション・プロバイディングです。主に電力業界と政府向けが中心になっています。例えば、電力会社向けには、電気料金の計算をするプリベイトカードのシステムや電力資産管理などになります。政府には、要望に応じてIT製品を調達しています。
──ビジネス展開している領域は、成都市に本社があることをみれば、四川省が中心になりますか。
周 いや、本社は成都市にありますが、中国拠点として北京、大連、深セン、日本拠点として東京、沖縄に事務所を構えています。現在、中国の上海事務所の開設も準備中です。沖縄県には、日本のインデックス沖縄との合弁会社(ウィナーソフト沖縄)があり、オフショア開発と「人材OJTセンター」でのIT・観光人材育成を行っています。
──中国内だけでなく、日本を中心として世界に目を向け始めたのはいつごろからですか。
周 最初からです。会社の設立当初から、日中間のIT産業の交流で生まれるビジネスチャンスの事業化を目指していました。例えば、日系の一般企業や日系のITベンダーが中国へ進出する時のお手伝いや、進出したあとのケア、政府との折衝などを行っています。さらに、日本の有益なIT技術を積極的に中国に紹介しています。例えば、「スマート・グリッド」や「モバイル・ペインメント」などに関する技術・ノウハウを受けて、中国内で事業化を進めようとしています。
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