大手国際企業を主な取引先としている統合ICT(情報通信技術)ベンダーのBTジャパンは、販売体制の再編に急ピッチで取り組んでいる。2012年1月に同社のトップに就任した吉田晴乃社長は、メーカー系の総合ITベンダーや有力システムインテグレータ(SIer)を中心とする「日本のITリーダー」との協業を進めているところだ。OEM供給や共同ソリューション展開のかたちで、日本企業の開拓を目指している。吉田社長に経営戦略をたずねた。
ITリーダーへのOEM供給に注力
──吉田社長は、この1月、BTジャパンの社長に就任されました。市場でのポジションやビジネス展開の課題など、御社の現状をどう捉えておられますか。
吉田 BTは本社を置く英国で最大手のネットワークインテグレータ(NIer)の地位を獲得していますが、その一方で、日本でのBTジャパンのシェアはまだものすごく小さい。当社はネットワークのインフラ構築から顧客管理などのITサービスまで、製品・サービスのポートフォリオが幅広く、力のある商材をもっています。しかし、日本法人として営業部隊のリソースが限られていることもあって、これまでお客様に対して十分に商材を紹介できていなかったり、強い特性をもつ日本市場への最適なアプローチ手法が見出せていませんでした。要するに、すぐれた商材のポテンシャルをフル活用することができなかったのです。私は新社長のミッションとして、改めてマーケットへの入り込み方を整理し、販売体制を再編することに取り組んでいるところです。
新しい販売モデルを構築して事業を伸ばすにあたって、「協業」をキーワードに掲げ、パートナーシップを軸に市場を開拓したいと考えています。日本のIT市場は、国産・外資系ベンダーともに有力プレーヤーの数が多く、ユーザー企業が求めるIT製品がすでにたくさん存在しています。そんな状況にあって、当社は販売と製品のいずれの面でも、単独でシェアを伸ばすことは非常に難しいとみています。自動車産業では、ここ数年、製造のモジュール化やスタンダード化を目指して、メーカー間の補完関係をベースとするコラボレーションが進んでいて、IT業界でも同じようなトレンドが起こりつつあります。当社は、そうした動きのなかで、日本のITリーダーと提携し、補完し合うかたちでビジネスを拡大する戦略をとっていきます。
──日本のITリーダーとは、例えばどのような企業を指しているのですか。
吉田 現時点では、各社と協業についての話が進んでいるところなので、社名は控えさせていただきますが、大手の通信キャリアをはじめ、メーカー系の大手総合ITベンダーやSIerの年商規模トップ5社とのパートナーシップを考えています。
一例を挙げましょう。BTジャパンはすでに4年ほど前から、日立製作所へのOEM提供を行っています。当社が日立に金融機関向けのトレーディングシステムを提供し、日立はそれを自社ブランドで販売している、というモデルです。日本を含めてグローバルのトレーディングシステム市場で、50%前後のシェアを有しています。このように、日立との協業をモデルケースとして、これからの新しいパートナーシップに関しても、BTのブランドを前面に打ち出さずに、当社製品をOEM供給することに力を入れます。
私どもは今、ITリーダー各社とワークショップをつくっており、補完し合えるところについて情報を共有しながら、ソリューション展開の案件を模索しているところです。具体的に、どういうかたちのパートナーシップを組み、どのような製品・サービスを展開するかは、ケース・バイ・ケースで決めていきます。ITリーダーとの協業を踏まえた販売体制づくりは、最優先で進めていて、年内をめどに本格的に立ち上げたいと考えています。
[次のページ]