NTTデータ ビズインテグラルの事業が好調に推移している。会社の設立から4期目に入り、SOA/BPM基盤をベースにしたクラウド対応のアプリケーションスイート「Biz∫」の本格的な販売に着手した。実績のある国産パッケージベンダーとの提携も進め、エコシステムが形成されてきた。ERP業界最後発のITベンダーとして、不断の成長を遂げようとしている。
三つの強みを生かして好調
──6月に今期(2013年3月期)の第1四半期が終了しました。振り返ってみていかがでしたか。
中山 今年で4期目に入りました。最初の2年は製品開発が中心で、3期目を迎えてようやく販売を始めました。事業を本格的に展開しているのは今期に入ってからです。売り上げは着実に伸びていて、前期はその前の期の倍の売り上げを計上しました。今期は、さらに前期の倍の売り上げを目標としています。第1四半期は予定通りの結果を残しました。
昨年から仮説を立てて取り組んできた結果、われわれの強みをようやく理解することができました。販売管理と財務管理を主力に、実績を上げていきますよ。
──理解できた強みとは何でしょうか。
中山 一つは、変化に柔軟に対応できるという点です。さらには、グループ間や他社との連携にすぐれている点。もう一つ、コンプライアンスへの対応力も挙げられます。
しっかりとした基盤である「intra-mart」の上に、独立した業務アプリケーション層が存在するので、これら三つの強みを生かすことができます。例えば、変化への柔軟な対応という点では、社内や企業間で利用できるポータル機能を実装していますし、複数の会社が独立した環境下で一つのアプリを共同利用するマルチテナント対応や、業務コンポーネントを差し込むSOA(サービス指向アーキテクチャ)対応という特徴から説明できます。
他社との連携についていえば、グローバルなビジネスモデルの構築に不可欠な多言語・多通貨に対応しています。コンプライアンス対応は、ワークフローや内部統制管理、IFRS(国際財務報告基準)対応をベースにして、これが他社との差異化ポイントになっています。
バージョンアップの際には、「ホットポイント」という機能を使うことで、アプリそのものには影響を与えずに機能を追加できます。カスタマイズやアドオンがあっても、従来のように更新時に多大な費用をかけて手直しする必要はありません。
──「Biz∫」は、どのような企業で導入が進んでいるのですか。
中山 食品や製造、サービス、ITなど、業種・業界はとても幅広い。言うまでもありませんが、財務会計は業種・業態を問いません。販売管理は、テンプレートを用意している食品や商社が多いですね。
別の見方をすると、オフィスコンピュータからオープンシステムへの移行も結構あります。IBM AS/400などを利用しているユーザー企業の多くは、情報システム部門の担当者が言語を覚えてシステムを拡張したりメンテナンスしたりしています。オープン化しても同じように自分たちでやりたいというケースがみられますね。この場合、ソースコードをすべて公開しているわれわれのオープンな基盤が強みになります。
──最近は、内田洋行が「スーパーカクテルInnova」の開発基盤として、「intra-mart」がベースの「Biz∫APF」を採用しました。このことに、どのような意義がありますか。
中山 老舗のパッケージベンダーである内田洋行には、われわれが提唱している基盤層と分けてアプリを開発するということを念頭に、製品選定をしてもらいました。世の中は、全体的にこうした開発スタイルに向かいつつあることを確信することができました。
これからの話なので、ベンダーの名前はまだ発表できませんが、とくに地方で長年事業を展開して数百社の実績をもっている販売管理のパッケージベンダーや、IBM AS/400上のRPG言語を使用して開発したパッケージを販売しているベンダーからの引き合いがあります。
[次のページ]