ITホールディングスグループのインテックは、ストックビジネスとグローバル、公共セグメントの三つを事業の重点項目に位置づける。コンピュータと通信の両方のスキルに長けたインテックの持ち味を存分に生かすことで、「強いインテック」を鮮明に打ち出す。ITホールディングスのもう一翼を担うTISをはじめとするグループ各社とは、「as One Company」の大方針の下、これまで以上に連携を深めていく。今年6月、トップに就任した滝澤光樹社長に経営方針をうかがった。
新生TISはよいリファレンスになる
──ITホールディングスは、中期経営計画で「as One Company」として、一体感のあるグループフォーメーションを整えることを目指していますが、中核事業会社の1社であるインテックでは具体的にどのように取り組んでいかれますか。 滝澤 当社グループとTISグループとが経営統合してITホールディングスを立ち上げたわけですが、企業規模を大きくして信用力を高めるとか、財務基盤を強くしていくという当初の方針は、結果として正しかったと思っています。ただ、私も2008年4月のITホールディングスの設立から3年ほどの期間、同社の副社長を務めていた経験からいわせてもらえれば、インテックやTISなどの個々のブランド力はあっても、残念ながらITホールディングスとしてのブランド力はまだ十分ではありません。今の経営計画の基本コンセプトの一つである「as One Company」は、つまりはITホールディングスとしてのブランド力をどう高めていくのかという課題も含まれています。
現場レベルでは、当社をはじめITホールディングスグループ全体で密接な営業・技術連携を進めており、こうしたクロスセル的な効果だけでも、すでに百数十億円の売り上げとして現れています。グループで協業するのは、もはやあたりまえという土壌ができているという意味では、経営統合した効果は着実に出てきている。さらにいえば、企業規模を大きくして財務基盤を強くする取り組みとして、2011年4月の旧TISと旧ソラン、旧ユーフィットが合併して新生TISになったことは、当社にとっても今後のよいリファレンス(参考例)になります。
──「as One Company」ですから、インテックとTISの一部再編を行うとの印象も受けましたが……。 滝澤 「どうして両社が一緒にならないのか」という質問は、これまでにも受けたことがあります。仮に再編するとすれば、再編前よりも売り上げや利益が増えることが求められますよね。
非常に不本意ではありましたが、ITホールディングス全体としてみると、これまで業績のダウントレンドが続いてきました。これをアップトレンドに転換するには当社とTISの双方が、今以上に強くならなければならない。両社合わせればグループ全体の売り上げの7割余りを占めるわけですから当然のことです。今の経営計画ではアップトレンドへ転換する方針を打ち出していますし、すでに業績回復に向けた基盤づくりはグループ全体ですでに整いつつあります。アップトレンドが鮮明になってくれば、当社とTISの再編についても、将来、機が熟す可能性があるかもしれません。
──より強いインテックにしていくために、どのように舵取りをされますか。 滝澤 今年6月、社長に就いてから、私は三つの重点項目を説いています。一つは「ストックビジネス」、二つ目は「グローバル」、三つ目は「公共セグメント」です。インテックは、80年代の早い段階からVAN(付加価値通信網)に乗り出しており、通信の技術に長けたSIerとしての強みを伸ばしてきました。通信サービスは今のクラウドと同様、契約期間中は安定して使用料を顧客からいただけるストック型のビジネスモデルであり、まずはここを重視します。
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