石油販売業や金融業に向けたシステム開発に強いアイネットは、データセンター(DC)を活用するクラウド事業の拡大に取り組んでいる。中堅規模SIerでありながら自前でDC施設を有していることを武器にして、IaaS/PaaSを展開するだけでなく、SaaSのメニューも拡充しつつある。「ファシリティだけでは大手外資系と勝負しにくい」と捉えている梶本繁昌社長は、近々、ソーシャル機能つきのSaaS型グループウェアを投入。クラウドサービスの販売活動に注力する。
エンジニア40人を営業に投入
──御社は2008年6月、梶本さんの社長就任の2か月後に、第2データセンターの建設に着工して、09年に第Ⅰ期棟を完成させました。2012年の御社の業績をみると、売上高が拡大し、とくに営業利益の向上が目立ちます。DC事業への投資が実を結んで、収益の高いクラウドサービスの展開がビジネスを支えるようになっているとみています。 梶本 私はアイネットの社長になってから最も力を入れて推進したのは、ストックビジネスへの切り替えです。案件の変動が激しく、景気に左右されやすい従来のシステム構築事業に加え、安定した収入が見込めるDC/クラウドを新規ビジネスとして立ち上げ、拡大に取り組んできました。
ストックビジネスに舵を切るということは、当然ながら会社へのインパクトが大きくなります。私は、下請けの契約を大幅に減らすことを決断して、その結果、年商がおよそ80億円も減少しました。一方で、DC設備への先行投資を積極的に行いました。当時、株主総会で当社の事業方針についてかなり厳しい意見をいただいたことを今でも覚えています。しかし、ストックビジネスの拡大は、池田典義・前社長(現会長)の方針でもあり、私は正しい道を選んでいると確信しています。営業利益が28.7%増となった12年4~12月の業績は、当社の事業方針が間違っていなかったことを裏づける結果になりました。
──DC/クラウド事業を成長させるために、販売体制も強化してこられたと聞いています。 梶本 システム開発部門から約40人の従業員をクラウド事業の営業に投入しています。この取り組みは、エンジニアの人がいきなり営業に携わることになるわけですから、当人が苦労することもあると思いますが、技術に強いセールスエンジニアを育てるのが狙いです。今の時代は、技術の知識がない者が売るやり方は通用しなくなっているので、技術の面にも詳しく、ソリューション提案ができる営業を強化することが重要だと考えています。
──御社は、まだ従来のシステム構築が売り上げの大半を占めています。クラウドに注力し、どのような売上構成を目指しておられますか。 梶本 売上見込み210億円のうち、システム構築が120億円を、DC/クラウドを柱とするストックビジネスが90億円を占めています。この比率を逆にしたいと思っています。そのため、IaaS/PaaSに加えてSaaSメニューの拡充に取り組んでいきます。
[次のページ]