「kintone」で働き方を変える
──ITツールが働き方を変えるための一つといわれています。ITベンダーとして取り組むことは?
働き方の多様化において、ITツールは欠かせないといえます。いまは、同じ時間に同じ場所に集まって仕事するというのが主流ですが、今後は、違う時間に違う場所で仕事しても成り立つバーチャルオフィスが必須になってくるでしょう。そのような仕組みを構築していきたいと考えています。
──どのような製品・サービスで実現するのですか。
代表的なのは、「kintone」です。パートナー経由で提供しており、いまではkintoneをベースとしたソリューションが多く市場に出ています。kintoneは、お客様の要望に応じてスピーディに対応できることが強みです。カスタマイズできるようにAPIを提供していますので、今後は働き方を変えるためのソリューションが次々と出てくるよう、パートナーの皆様と一緒に創造していきます。
──クラウドビジネスが売上比率の50%を超えているとのことですが、この比率を伸ばしていくのですか。
パッケージも売れていますので、引き続き提供していきますが、柱はクラウドです。パッケージの成長を現状維持、クラウドの比率を伸ばしていく方針です。
──最後に日本の将来についてお聞かせください。働き方が変わることで、日本はどう変わっていくとお考えですか。
日本は、社員のスキルを一律にして一定の品質を保つという労働集約型によって経済大国になったという経験がありますが、残念ながら、いまは通用しない。新しい発想やアイデア、オープンなイノベーティブ、ビジネスモデルの変化が必要な時代で、それに対応しなければなりません。また、少子高齢化が問題の一つになっていますが、高齢でも仕事できる、若くても実力があれば幹部になる、という環境があたりまえになれば解決できるといえます。多様な個性を生かしきれている国って、実は海外でもまだありません。ですので、日本の働き方が世界で通用する可能性は十分にあります。
社員が仕事するうえで困っていることを
解決するために新しい制度を採り入れる。
これが必要なんじゃないでしょうか。
<“KEY PERSON”の愛用品>オフィスの“入り口”に欠かせない
大切なスマートフォンの落下防止アイテムとしてホールドリングがある。「スマートフォンはオフィスの“入り口”。最大限に活用して、どこでもオフィスを実現するために、(リングは)なくては欠かせないアイテム」とのこと。


眼光紙背 ~取材を終えて~
「早く帰りたい日は帰る。非常にシンプル」と青野社長はいう。確かに、すべての社員が毎日、一斉に早く帰る必要はない。ちなみにインタビュー当日、「今日は16時30分で帰る」と青野社長。運動会の振り替え休日の息子を妻がディズニーランドに連れていくので、家に残った子どもたちの面倒をみるというのが理由だ。「まさにシングルファザー状態」とうれしそう。
会社では業績を伸ばすことが求められる。しかし、それで社員が幸せになるとは限らない。毎日の仕事をいかに楽しめるか。一人ひとりの社員が充実していれば、会社全体が活気に溢れて、結果的に業績増につながる。働き方改革とは、「個性を生かす」ために取り組むべきで、「会社を生かす」ことにもつながると、青野社長へのインタビューを通じて改めて感じた。(郁)
プロフィール
青野慶久
(あおの よしひさ)
1971年、愛媛県今治市生まれ。大阪大学工学部卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。97年にサイボウズを設立し、取締役副社長に就任。マーケティング担当としてウェブグループウェア市場を切り開くことに尽力したほか、新商品のプロダクトマネージャーとして数々のビジネスを立ち上げる。事業企画室担当、海外事業担当なども務め、2005年に代表取締役社長に就任。現在に至る。
会社紹介
サイボウズは、1997年8月8日に愛媛県松山市で設立した。グループウェア「サイボウズ Office」を手始めに、さまざまなソフトウェアを提供。2011年にクラウドサービス「cybozu.com」の提供を開始し、その後、ビジネスアプリ作成プラットフォーム「kintone」などの市場投入によって、一気にクラウドベンダーとしての知名度を確立する。いまでは、中小企業から大企業まで6万社を超える販売実績をもつ。育児制度や副業をはじめ、社内には社員が働きやすい数々の制度があることでも知られている。