顧客接点力を生かし スーパーアプリ化を推進
Chatwork
代表取締役CEO
山本正喜
取材・文/安藤章司
撮影/大星直輝
KeyPerson
2022/04/29 09:00
週刊BCN 2022年04月25日vol.1920掲載
Chatworkは、主力商材のビジネスチャット「Chatwork(チャットワーク)」と連携するSaaS商材の拡充に力を入れている。業種・業態を問わず日常的に使われるビジネスチャットの“顧客接点力”を生かし、主な販売ターゲットである中小企業の課題を解決する「ビジネス版スーパーアプリ」への地歩を固める考えだ。2024年12月期までの4カ年中期経営計画では、「中小企業ナンバーワンビジネスチャット」の地位獲得に向けて、年率40%の成長を目指す。
(取材・文/安藤章司 写真/大星直輝)
SaaS商材の販売チャネルに
――「ビジネス版スーパーアプリ」戦略を推し進めていますが、具体的にはどのようなものですか。
当社の主力サービスであるビジネスチャット「Chatwork」は、直近で34万社余りの企業に使っていただいています。利用社数の多さを生かして、社内外のSaaS商材の販売の“窓口”になるのがビジネス版スーパーアプリの狙いです。
個人向けのチャットアプリでは、チャット以外にも小売店舗が集客用のクーポン券を配布したり、ゲームや漫画などを販売したりしています。一方、企業向けのSaaS商材を見渡してみると、営業支援や財務会計、業種向けの専門的なものなど、業務や業種に焦点を当てているケースが多い状況です。
当社のChatworkは、ビジネスチャットの性質上、業種・業態を問わず、幅広いユーザーに使っていただいていますので、この顧客接点の広さを活用して、世の中にあるSaaSアプリをユーザーに届ける販売チャネルの立ち位置をより強化していく方針です。
――Chatwork経由で販売するSaaS商材の規模はどのくらいですか。
直近では30種類ほどのSaaS商材を販売しています。こうした周辺サービスの昨年度(21年12月期)の売り上げは、前年度比39.9%増で、成長の勢いに弾みがついています。Chatworkは、無料のお試し版のコースを用意していますが、有料の周辺サービスを利用しているユーザーの約半数が、実は無料版のChatworkを使っています。Chatwork本体の課金だけに依存しない収益の多角化にも役立っています。
――どのようなSaaS商材が売れていますか。
Chatworkのユーザー層は中小企業が多く、日々の業務やビジネスに直結するSaaS商材が人気です。代表的なものでは、電話受付の代行サービスや売掛金の早期現金化、助成金アドバイスなどがあります。
電話代行は、オペレーターがユーザーに代わって電話を取り、聞き取った内容を文字に起こしてチャットで送る。早期現金化は、請求書を買い取るサービスで、手早くに現金化することで運転資金に余裕が出るメリットがあります。助成金アドバイスは、自治体の助成金制度を専門家がアドバイスするといった内容となります。
この記事の続き >>
- コロナ契機に従業員数を倍増
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Profile
山本正喜
(やまもと まさき)
1980年、大阪府生まれ。電気通信大学情報工学科卒業。2000年、大学在学中に兄とともにEC studio(現Chatwork)創業。CTOとして多数のサービス開発に携わる。11年、クラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供を開始。18年6月、代表取締役CEOに就任。
Company
会社紹介
【Chatwork(チャットワーク)】昨年度(2021年12月期)連結売上高は前年度比39.1%増の33億円、営業損益は6億8800万円の赤字。従業員数は約250人。主力のビジネスチャット「Chatwork」事業の昨年12月末のARR(年間経常収益)は37.8億円。ユーザー社数は約34万社。