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三菱電機 先端技術総合研究所 研究開発成果の展示会開催
2002/02/18 16:09
電気・機械工学技術のIT活用核に
三菱電機は、兵庫県尼崎市の先端技術総合研究所で、研究開発成果の展示会を開催した。今回公表されたのは、新規で9件、参考展示として10件。昨年実施した展示会では、半導体およびIT分野の研究開発成果が中心だったが、「今年はIT技術のほか、電動、家電、自動車、昇降機など、当社の伝統的な電気・機械工学系技術のITを活用した成果を公表することになった」と、谷口一郎社長は話した。
今回の目玉は、人工衛星用のセンサーシステム、長距離・大容量光伝送技術、高性能並列情報検索システムなどの大規模システム分野や、家電製品分野における小型・高指向性ウェアラブルディスプレイ、現行DVDへの記録を可能とするHDTV超圧縮技術など。
先進的スターセンサーシステムは、恒星の画像情報だけを用いて姿勢制御を行う人工衛星用のセンサーシステム。2002年夏に打ち上げ予定の人工衛星(次世代型無人宇宙実験システム)に搭載し、軌道上での試験を予定している。また、光伝送技術では、1波あたり20Gbpsの信号を65波多重した同1.3テラビットのデータを、1本の光ファイバを用いて、太平洋横断を可能にする8400kmの伝送実験に成功した、という。
小型・高指向性ウェアラブルディスプレイ「アイビジョン」は、見たいときに視線(片目)を向ければ50cm離れた所に10インチ相当の画像を見ることができる指向性小型ディスプレイの原理を実証した。DVDやPDA用のディスプレイとして、場所を選ばずに動画や静止画を鑑賞することが可能。同研究所では次のステップとして、プロ用の高精細画像(VGA、SVGAクラス)タイプの開発を検討中だ。商品化の第1弾は02年秋頃を予定している。
同社の売上高に占めるR&D投資比率はおよそ5%程度。神奈川県鎌倉市の情報技術総合研究所では主に情報通信関連技術を、尼崎では電気・機械工学関連技術の研究・開発を行っている。「当社の業績は厳しいが、R&Dはメーカーの要であり、研究開発費を削減することはない」(佐藤行弘取締役経理部長)という。
今後、中国における研究・開発拠点の強化に乗り出す。
現在、中国には15か所の生産拠点と3か所の販売拠点をもつが、「あくまで生産拠点という位置づけだった中国市場でニーズを確実に反映させるため、中国を一大研究・開発拠点にする計画がある」と谷口社長は言及した。
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