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エイベック研究所 会員50万人を目指すコミュニティソフト「ビーチ」で事業拡大

2002/04/01 16:15

週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載

 「ビーチ」開発のエイベック研究所(武田隆社長)が、会員獲得に力を入れている。「ビーチ」とは昨年10月、同社が開発したコミュニティソフト。すでに1万2000人の会員を獲得した。協賛企業の協力を得て、1年後の03年5月には50万人に増やす。今はまだ会員数が少ないため、アンケート調査を主な収益にしているが、会員数が50万人を超えた時点で、データベースとしての運用に力を入れる。

 「ビーチ」は、利用者の趣味嗜好に合わせ、自分の好きな会議室を開設したり、ほかの会議室に参加したりするコミュニティソフト。さまざまな会議室に出入りしながら、意見交換を楽しむ。会議室はアイコンで表示し、随時、追加や削除ができる。協賛企業は、自社の会議室を開設し、利用者の趣味嗜好を観察しながら、意見調査や商品・サービスの売り込みに使う。NTT-Xが運営する検索サイト「goo(グー)」では、「グーサークル」という名でビーチを配布している。

 同サークルにはグー専用の会議室があり、会員の趣味嗜好を観察しながら最適な販促コンテンツを配信する。ほかにも、顧客とのコミュニケーション手段として採用する企業が増えている。企業の利用料金は、対象会員1万人以下で半年200万円から。エイベック研究所は、昨年までウェブ制作を主な収益源にしていた。だが、ビーチを発案し、投資会社などから計2億7000万円の資金調達に成功。ビーチ開発後はウェブ制作をやめ、社員15人全員でビーチ事業に専念している。ビーチ関連ですでに5件の特許を申請した。武田社長は、「今はまだ会員も少なく、協賛企業の市場調査などで収益を得ているにすぎない。昨年度(2002年3月期)の売り上げも微々たるもの。だが、会員は順調に増えており、年内には30万人になる。

 第2四半期(02年7-9月期)には単月黒字化を達成し、今年度(02年12月期=決算期変更)は単年度黒字を見込む」と強気だ。03年5月の会員獲得目標50万人については、「協賛企業の集客力の最大値に1年をかけて試算すると50万人になる」と算出根拠を示す。協賛企業の利点は、比較的安い費用で、手軽に市場調査ができること。一方、エイベック研究所は、協賛企業の集客力を活用することで利用者数を増せる。今は市場調査にともなう手数料が収益の柱だが、会員数50万人を超えれば、データベースとしての価値も出てくると、その将来性に期待をふくらませる。「利用者の趣味嗜好が即時的に分かり、発言をデータベース化し、自然言語分析を加えれば、市場の動きを立体的に捉えられる」と自信を示す。利用者の属性は、①居住都道府県、②性別、③年齢――の3点。市場調査は、すべて利用者の会議室の選び方や発言に基づいて分析する。
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外部リンク

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