家庭向けPCビジネスを継続

 普通なら倒産している――。ソーテック(大邊創一社長)の昨年度(02年3月期)のパソコン販売台数は34万8800台。一昨年度(01年3月期)の62万5300台から半減した。売上高も48.8%減の442億500万円と半減し、営業損失を51億6100万円出した。通常なら倒産しかねない損失だ。だが、ソーテックは「潰れないための資本政策」(大邊社長)として、自社株式を投資会社の「アクティブ・インベストメント・パートナーズ」に売却。22億3376万円の資金を調達して乗り切った。

 アクティブからソーテック再建に乗り出した平沢潔代表パートナー(ソーテック取締役に就任)は、「ソーテックは、400億円を超える売り上げに対して300人ほどの社員しかいない。商品力の強さを考えれば、再建は比較的容易だ」と、出資理由を話す。

 今回の出資にともない、ソーテックの親会社は従来のキョウデンからアクティブになった。

 だが、依然として厳しい状況が続く家庭用パソコン市場で売り上げを伸ばすのは難しい。

 この点についてソーテックは、「今年度(03年3月期)は、月販3万台しか売れなくても利益がでる財務施策を打つ。平均単価13万1000円のパソコンを年間36万台売れば、年間470-480億円の売り上げが立つ。この数字でざっと計算すると73億円の粗利益が出る。同時に販管費を67-68億円に抑えれば利益が出る」(關照正取締役管理本部長)と、販売台数ベースで前年比横這いでも黒字を出す計画。

 昨年度(02年3月期)の主な赤字原因は、(1)販売不振による在庫評価損22億円の引き当て、(2)生産委託先の韓国コリアデータシステムの倒産による貸し倒れ金11億円、(3)売上高1000億円を前提とした販売管理費、広告宣伝費を投資したうえに、結果的に過剰在庫になった製品を売りさばくための販促費の追加投資分――など。

 パソコン販売がかつての勢いを失ったなかでの強気の拡大路線が営業損失51億6100億円という赤字を招いた。

 平沢代表パートナーは、「急成長する会社は、どうしても財務体質がおろそかになりやすい。筆頭株主になったからには、財務体質の健全化に取り組む」と、その役割を説明する。

 続けて、パソコンビジネス分野については、「私はパソコンの専門家ではないので、商品企画には口出ししない。すべて大邊社長をはじめとするソーテックの方々に一任する」と、経営管理と商品戦略とを分離することで、市場動向を見誤った増産や販促費の投入、貸し倒れなどを未然に防ぐ考え。

 大邊社長は、「今回は厳しい結果になったが、国内の家庭用パソコンはまだまだ伸びる。現在の家庭用パソコンの年間販売台数は500万台前後だが、最終的には1000万台規模に成長する。今は『やっと家庭のなかにパソコンが行き渡った』という第一段階に過ぎない。いずれ近いうち、ソニーが力を入れているようなAV(音響・映像)とパソコンを融合させた斬新な製品が出てきて、再び市場が盛り上がる」と、強気の姿勢を崩さない。

 「当社は、すでにケンウッドと提携してAVパソコンを出している。この夏商戦では、ほかの家電メーカーと提携した新しいAVパソコンを投入する。馴染みにくいパソコンのキーボードはもっと直感的に使えるものに変える。また、液晶テレビ事業にも参入する」(大邊社長)と、新製品の開発に力を入れる。

 ソーテックでは、家電音響メーカーと提携し、AVパソコン路線を進む一方で、従来からの路線も踏襲する。

 「9万9800円の低価格パソコン路線も堅持する。ハイエンド機種においては、価格帯20-25万円で他社よりも2-3割性能がいいパソコンを出す。ソニー1社の独占を許すわけにはいかない。新しい筆頭株主の協力を得られたことで、まだまだ暴れ回る余力はある」(大邊社長)と、元気なソーテックを市場に印象づける。