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イニット リッチコンテンツ事業を加速

2002/08/26 16:26

週刊BCN 2002年08月26日vol.954掲載

 

独自システムを製品化

 ウェブ制作のイニット(早見泰弘社長)は、今年12月を目途に、リッチコンテンツを管理する「コンテンツマネージメントシステム(CMS)」(仮称)を製品化する。価格は200-300万円。リッチコンテンツとは、映像や音声などのマルチメディアを指す。同社は5月から、独自に開発した映像配信システム「E2システム」の販売を始めており、これに今回のCMSおよび他社の課金パッケージなどを組み合わせることで、リッチコンテンツサイトの受注拡大を目指す。

 同社はもともとウェブ制作を中心に売り上げを伸ばしてきた。だが、競合他社が増えたうえに需要が一巡したことで制作単価が最盛期の5分の1に下落。これを打開するために、リッチコンテンツ事業に力を入れる。

 事業開発事業部の向川敏秀部長代理は、「従来のHTMLを中心としたウェブ制作は、在宅でも受注できるほど気軽な仕事になってしまった。1000ページ以上ある大規模なサイト構築でない限り、HTMLだけで企業経営を成り立たせるのは困難。そこで、3D(立体画像)、フラッシュ(アニメーション)、ストリーミング(映像配信)などのリッチコンテンツを柱としたウェブ制作に力を入れる」考え。

 今年12月にパッケージとして発売するコンテンツ管理システムは、動画や音声を専門に管理するシステムで、既存の著作権管理システムや課金システムと組み合わせて使う。

 今回の最大のポイントは、これまで高価だったリッチコンテンツを低価格で構築できる点。

「従来のコンテンツ管理システムは、単体で数千万円もする高度な文書管理システムの延長線上が多く、簡便な仕組みが少なかった。これを、コンテンツ管理、映像配信、課金など一通りの仕組みを揃えて1000万円以内に抑えれば、リッチコンテンツサイトの受注が増える」と話す。

「1000万円以内でリッチコンテンツを配信できる仕組み」を訴求することで、ウェブのリッチ化需要を掘り起こす考えだ。

 今年度(03年6月期)の売り上げは7億5000万円、経常利益3500万円を見込む。

 最盛期の01年6月期の決算では、売上高8億2000万円、経常利益3900万円と、96年の創業以来順調に伸びてきた。

 だが、ウェブの制作単価が下落したことで、業績の横這いが続く。リッチコンテンツ事業を早期に立ち上げることで、成長路線の軌道に乗せる考え。

 同社は、トヨタ自動車やトランス・コスモスなどが出資するウェブ制作企業で、社員約100人のうちウェブ制作クリエーターが80人を占める。(1)トヨタ自動車のウェブ構築を受託する事業部、(2)その他のサイトを受託・運営する事業部、(3)リッチコンテンツを中心に手がける事業開発事業部の3つの事業部から成る。

 アドレスはhttp://www.init.co.jp/。
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