フォース・テンネットワークス(田中克和社長)は、グリッドコンピューティング向けの製品開発を本格化する。同社は、もともとイーサネット方式による通信速度10Gbpsの高速ルータを通信事業者向けに開発してきた。だが、世界的な通信不況で需要が落ち込んだため、販売の軸足をグリッド分野に移した。昨年9月にはグリッド研究の中心である産業技術総合研究所グリッド研究センターに10Gbps級の機材を納入した。

来年には40Gbps級の製品も

 同社の親会社は、1999年に起業した米国のベンチャー企業で、これまで累計200億円弱の資金を調達した。この資金を使い開発したのがイーサネット方式による通信速度10Gbpsの高速ルータだ。先行するジュニパーネットワークスやシスコシステムズの製品に比べ、機能を“イーサネットによる高速通信”に絞り込むことで価格を同等製品の半額にした。日本法人の田中社長は、「全米科学財団(NSF)の超高速のテラグリッド計画(テラはギガの1000倍)は、米国の東西を結ぶ巨大なもので、実現すれば世界最速になる。昨年9月から同計画が始まり、当社はルータを納入した。国内では、経済産業省とグリッド研究センターが中心となり、超高速グリッド網を構築する計画が進んでいる。国内でも新規にグリット網をつくるとなれば、高速ルータの需要が発生する」と期待を高める。

 現在のテラグリッド計画では、10Gbpsの回線を4本束ねて最高40Gbpsの速度を出すことからスタートし、将来的にはテラビット級の速度に高める。グリッドコンピューティングでは、ただ単に“高速通信”を実現するのではなく、この網を使い、巨大な高速計算網をつくりだせる。通信だけだったネットワークが、計算という新しい付加サービスを生み出せる仕組みだ。

 「IBMは、財務会計や販売管理、生産管理など、業務ごとに分かれて複数のサーバーを統合しようとしている。複数のサーバーをグリッドの高速網で束ねて、企業内のグリッドコンピューティングを実現するのが、彼らのいうオンデマンド化の一例。これはコンピュータ業界の潮流であり、われわれ通信機器ベンダーも、この方向で市場を開拓する」(田中社長)と、グリッド需要の取り込みに余念がない。同社の標準的なルータは1台1-2億円で、一次代理店は日立電線のみ。来年には、現在の4倍の40Gbps級の高速ルータを投入する計画で、そうなれば現在の10Gbps級の製品価格は必然的に下がる。40Gbpsの次は、100Gbps対応の製品を開発する。