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菱洋エレクトロ 通信パケット監視装置、今年度100台以上目指す e-Japanで広がるニーズに対応

2003/09/15 19:32

週刊BCN 2003年09月15日vol.1006掲載

 菱洋エレクトロ(島田義久社長)は、通信パケット監視装置「MSIESER(エムシーサ)」の販売で今年度(2004年1月期)に100台以上、来年度(05年1月期)は200台以上の販売を目指す。情報漏洩を防ぐために、ネットワークセキュリティの強化が求められるなかで、企業など内部からの情報流出についても対策が必要になっている。エムシーサは、ネットワークを流れるパケット情報を監視するシステム。電子メールやウェブアクセスをチェックし、社内情報などが外部に流出していないかを監視し、その記録を残す。情報が流出した場合、流出源をいち早く突き止め対策を講じることができる。

 エムシーサは、三菱電機子会社の三菱スペース・ソフトウエア(三宅道昭社長)が開発したシステム。三菱電機系半導体商社の菱洋エレクトロが総代理店となって、サーバーとソフトのシステムセット販売を行っている。

 今年2月の発売以来、セキュリティニーズの高まりにより好調に推移しているとして、今年度は100台以上、約7億円の販売が見込めるという。

 システムは、外部からの不正アクセスを監視・防御するものではなく、内部からの情報漏洩を監視、解析、記録保存する。企業などの内部からインターネットを通じてどんな情報が出て行ったかを、電子メールやウェブアクセス、FTPなど、LANパケットの詳細情報を解析することで把握し、意図的に情報を漏洩した場合などに保存されたデータから情報漏洩の証拠を残すことができる。

 企業全体のセキュリティを高めるために、外部からの攻撃を防ぐとともに、内部からの情報流出にも厳しく目を光らせている必要がある。

 特に、8月25日から住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の2次稼動が始まり、個人情報流出が懸念され、自治体には厳しい監視が求められている。情報漏洩の多くが、悪意に基づく人的な要素が大きいことから、流出経路を迅速に特定し、対策を講じられる体制を築くことが必要。エムシーサで記録した内容が、裁判などで情報漏洩の証拠として採用されるケースも考えられるとしている。

 同社では、通信や金融分野、情報管理の徹底を進めている企業だけでなく、官公庁や自治体など、e-Japanで広がっているセキュリティニーズに対応できるとしており、来年度は今年度の2倍以上、200台以上の販売を目指す。

 菱洋エレクトロでは、これまでの半導体中心のビジネスから脱却するため、システム機器の販売を拡大している。エムシーサもその一環で、セキュリティ分野にビジネスを広げるため、三菱電機グループで宇宙・防衛システムからバイオインフォマティクス(生命情報科学)、企業情報システムと、幅広い分野をカバーする三菱スペース・ソフトウエアが開発したシステムの販売を開始した。
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