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就職サイト、不景気が支える需要 ユーザー囲い込みの戦略
2003/09/22 19:32
週刊BCN 2003年09月22日vol.1007掲載
不景気が長引くほどに需要が高まる就職関連サイト。ドットコム起業ブームの初期からも、この分野の躍進は期待されていたが、米国経済がいまだに低迷から脱出できない現状も追い風となり、現在でも大手を中心に人気は高まるばかりだ。
このようななか、就職斡旋企業サイトの大手、キャリアビルダーとAOLとの提携が発表された。これまでの提携先だったモンスターは、この契約を失ったことに加え、MSNとの提携も解消
となった。
この結果、やや株価を下げた同社は、今後は多くの一般企業のように、テレビ広告などを中心とした戦略を選び、高品質なサービスを提供していくとの声明を出した。
一方のキャリアビルダーは、AOLの会員に対し、自身が持つ40万件を越える就職情報を提供していくことになり、付帯サービスも含めて更なるユーザーの囲い込みを狙っている。新聞社が保有する同社は、その豊富な情報量に比べて、ライバルのモンスターやヤフー傘下のホットジョブスが得意とする、ネットユーザーに対しての訴求力不足を常々指摘されてきた。
しかし、今回の提携はその弱点を払拭し、今後のシェア争いに大きく影響を与えるものと見られている。近い将来に予想される、ユーザーのサイト離れも各社の懸念事項だ。今では求職者にとって、オンラインの利便性は両刃の剣だ。
景気が低迷し、就職難が続く今、効率の良い検索でより良い仕事を見つけ出せる、というメリットが、多くの目に触れる就職情報を一層熾烈化する、というデメリットにかき消されてしまいかねない。そのため、いかにして安定した就職情報を確保するかが、各社の重要な課題となっている。
いずれも魅力的な就職情報を数多く掲載するため、競って大企業と契約を結び、就職情報を独占して入手するとともに、優秀な人材を優先的に斡旋するというサービスを行っている。将来は政府機関や軍の求人情報も、その提携対象となるだろう。
今回のキャリアビルダーとAOLの提
携は、これまで不得手としてきた分野へあえて進出することで、熾烈な競争を勝ち抜いていこうとする姿勢の現れだ。現在の好調が、不景気に支えられたものであるが故に、各サイトは、提携先や契約内容の見直しを迫られる。さらにはライバル会社の動向や経済状況にも目を光らせ続けねばならない。
キャリアビルダーとAOLの提携は12月にスタートする。2004年早々にも、就職関連サイトの市場争いには、何らか大きな動きが生じる可能性は高い。(田中秀憲)
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