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マイクロソフト 新版オフィス売り込み開始 XML対応とセキュリティを訴求

2003/10/27 19:35

週刊BCN 2003年10月27日vol.1012掲載

 マイクロソフトは、新版オフィスシステム「オフィス2003」パッケージ版の販売を10月24日から開始した。しかし、顧客企業の多くはすでに前バージョンのオフィスを導入済み。そこで、今回の新版オフィスをどう売り込むかが課題となっている。マイクロソフトでは、「まずは顧客に商談のテーブルへついてもらうのが先決」と、顧客への接近方法そのものの見直しが必要だと話す。

 新版オフィスの最大の特徴は、「オフィスシステム」として統合されている点にある。つまり、「ワードやエクセルだけではない」ということだ。オフィス関連製品だけで13種類あり、「シェアポイントポータルサーバー」や「ビズトークサーバー」などのサーバー製品も含まれる。すでに販売を始めているウィンドウズサーバー2003と組み合わせれば、文書管理能力が大幅に高まる仕組みも用意している。高度で複雑なシステムとなっている一方で、明確なセールスポイントもある。営業現場でのセールスポイントは、「既存の基幹系システムとXMLベースで連携」と、「ウィンドウズサーバー2003との連携によるセキュリティ」の2点。

 いずれも基幹系システムやウィンドウズサーバー2003などを巻き込んだシステム構築が不可欠な切り口である。パッケージをベースとしつつも、業務改革のカギとなるシステムインテグレーションが密接に絡んでくる。小柳津篤・ビジネスプロダクティビティソリューション本部エンタープライズビジネス部長(=写真)は、「顧客企業は、新しいワープロソフトや表計算ソフトを欲しているわけではなく、あくまでも業務改革を求めている。XML連携やセキュリティを駆使した業務改革でアプローチしてこそ、顧客からよい反応を得られる」と話す。

 マイクロソフトでは、昨年12月から企業内個人向け生産性アセスメントサービス「インディビジュアル・プロダクティビティ・アセスメント」(IPA)を実施。「パッケージを売るという考え方ではなく、どうしたら業務改革を実現できるかという切り口で、顧客の潜在需要の引き出しに力を入れている」(小柳津部長)と、従来のパッケージ販売を基調としたオフィス製品の売り方を大きく変えようとしている。特にXML連携は重要なポイントとなる。「オフィスがXMLに対応した意義は大きい」と強調する。請求書や発注書、見積書の発行など基幹系システムで動く定型業務をオフィスという非定型業務へと自由に取り込めるようになる。このため、基幹系システムと連動した作業効率が大幅に高まる。

 基幹系システムとの連携で欠かせないのがセキュリティである。新版オフィスシステムでは、ウィンドウズサーバー2003のアクティブディレクトリ(利用者の権限管理システム)と連動し、情報の持ち出し制限を細かく設定することができる。マイクロソフトではこれを「インフォメーション・ライツ・マネジメント」と呼んでおり、先のXML連携と対になって効果を発揮する。このように、サーバーと密接に連携したフロントエンド(情報系システム)であることを受けて、今回の新製品群から「オフィスシステム」という、統合システムをイメージさせる関連製品全体を表す総称を採用した。オフィスシステムを売れるか、売れないか。システムインテグレータの力量が試されそうだ。
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