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おおさかユビキタスネットワーク普及促進協議会 IT実証実験が本格化 大阪経済の活性化に期待

2004/02/16 20:22

週刊BCN 2004年02月16日vol.1027掲載

 大阪市を中心とする行政機関とIT系先端企業、関西経済界が2003年8月に立ち上げた「おおさかユビキタスネットワーク普及促進協議会」の実証実験が本格化してきた。昨秋から始まっているベンチャー企業創業支援ポータルサイトなどの一部実験に加え、IPv6情報家電の普及を目的とした環境整備実験が2月9日からスタート。無線LANを活用した地下街活性化モデル実験も、1回目のアイデア募集を締め切り、順次開始の予定になっている。低迷する大阪経済活性化の起爆剤として、期待が高まっている。

 IPv6情報家電の環境整備実験「歩行者ネット天国@おおさか」は、インターネット総合研究所が代表企業となり、昨年10月大阪球場跡地に完成した大型商業施設「なんばパークス」を対象エリアに実施する。プロバイダフリーでありながら端末認証まで行えるIPv6環境の上に、RFIDタグ(無線タグ)を用いた「買い物カゴ無しショッピング」、無線電界強度から位置を割り出して利用者を案内する「擬似GPS連動システム」といったアプリケーションを提供する。

 無線LANを用いた地下街活性化モデル実験「ユビキタス・ストリート@おおさか」は、NTT西日本が代表企業となり、大阪市中央区の地下街「クリスタ長堀」の全域を無線LAN「フレッツ・スポット」のカバーエリアとして、新しいビジネスアイデアや活性化策を探る内容。事業者はもちろん、大学生などからの応募もあり、05年度前半まで様々な角度からアプローチを行う。

 このほかにも、すでに松下電器産業を中心にスタートしている創業支援ポータル「創業ナビ@大阪」では、近畿経済産業局と連携し、ポータルを通じて企業設立手続きの電子申請を行う実験を2月16日以降に開始。さらに日立製作所は、関西の私鉄各社が導入予定のポストペイ式IC交通カードの空き領域を利用した観光・都市生活支援サービスの実験を行う。

 合計7つの実証実験は、いずれも大阪を南北に貫くメーンストリート「御堂筋」の周辺エリアで実施される。政府関連機関などからの受託研究によるものもあるが、大阪市が御堂筋周辺の都心エリアをテストベッドとして積極的に活用する方針を打ち出し、第3者的に企業間の利害調整などにもあたるため「普段ならやれないことができる」(実験参加企業)と好評。また、日立製作所も「東京は広すぎるし、エリアごとに利用者の属性も異なる。かといって、地方ではデータにならない。実験エリアとして大阪都心部は最適」と指摘する。

 2月5日に開かれた「ユビキタスシティおおさかシンポジウム」は、当初定員500人のところ、1000人を超える応募があり、実際にも約700人の参加者があった。

 地域経済が停滞するなか、「新たなビジネスのヒントをITに見出したい」という気持ちの現れとも言える。西日本一の集積度を誇るITベンチャーなども巻き込んで「大阪復権」への期待は一層高まりそうだ。
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