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ソースネクスト 企業市場向けのチャネル開拓へ 「いきなりPDF」が火付け役に

2004/05/03 20:47

週刊BCN 2004年05月03日vol.1038掲載

 ソースネクストは、企業向け販売チャネルの開拓を急ぐ。今年6月末をめどに法人営業部門を新設するための準備と並行して、大口顧客向けの一括販売に適したライセンス販売の体制作りにも取り組む。これまで、コンシューマ向けのパッケージ販売が中心だった同社だが、企業向け販売チャネルの開拓と販売形態の整備を進めることで業容拡大を図る。ソースネクストによれば、今年3月19日に販売を始めたPDF変換ソフト「いきなりPDF」のユーザー登録数のうち約3割が法人名での登録だったという。また、販売店からも「いきなりPDF」を何本かまとめ買いする企業担当者が増えているという声が集まっていた。PDFは業務で使う頻度が高まっていることに加えて、イチキュッパ(1980円)という安さが企業担当者の購入を促している模様だ。

 こうした市場の反応から、ソースネクストでは「企業向けにイチキュッパ戦略を展開できる機運が高まった」と判断。今年度(2005年3月期)の重点施策の1つに「企業向け販売チャネルの開拓」を盛り込むことにした。藤本浩佐取締役(=写真)は、「今年度は企業向け販売チャネルの開拓に取り組む年になる」として、早ければ6月末までに法人営業部門を新設する。

 ソースネクストは、昨年度に量販店やパソコンショップだけでなく書店やコンビニエンスストア、スーパー、ホームセンターなどの新規販売チャネルの開拓を進めた。イチキュッパシリーズなどを取り扱う店舗数は、昨年度1年間で約10倍の2万店舗以上に増えている。今年度は、新規チャネルの1つとして企業向け販売チャネルを新しく加えることになる。

 これまでも、圧縮や分割ソフトなどのツール集「スグレモ3」は、企業や官公庁などへ累計数万本のライセンス販売の実績がある。しかし、コンシューマ向けとは異なり、数百本単位でまとめて購入する企業などの大口顧客向けには、パッケージ方式で売るには限界がある。必要な本数分の使用許諾を与える「ライセンス販売」方式を取り入れることがビジネス展開のうえで欠かせない。

 同社では、既存製品の中から「企業内での需要」が見込め、なおかつ「ライセンス販売」が可能な製品として、PDF変換の「いきなりPDF」など数種類を選び出した。今後も、企業需要が見込め、ライセンス販売が可能な製品の品揃えを増やしていく方針。

 藤本取締役は、「企業向けの販売チャネルを持つシステムインテグレータなどとの協力関係をつくり、企業市場でもソフトウェアのイチキュッパ化を強力に推進していく」と、企業向けの新規チャネルとして、インテグレータなどとの連携を進めることで、企業市場に向けた販路開拓に力を入れる。
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