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ミロク情報、日立ソフト 中堅・中小市場向け拡販で提携 金融サービスで共同ソフト開発も

2004/09/06 21:09

週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載

 ミロク情報サービス(MJS、是枝伸彦社長)と日立ソフトウェアエンジニアリング(小川健夫社長)はこのほど、中堅・中小企業向けシステム販売や金融関連サービスの開発などで業務提携した。MJSのERP(統合基幹業務システム)と日立ソフトの業務パッケージを組み合わせた「複合ソリューション」の拡販を共同で行うほか、企業と金融機関を電子データで結び「電子融資」などを実現する「金融ゲートウェイサービス」(仮称)を年内に開発する計画。両社は9月から、日立製作所の関連会社などの基幹システムのリプレースを狙い、複合ソリューションの拡販を共同で開始。1年間で20社への導入、売上高3億円を目指す。

 複合ソリューションは、MJSが会計、給与、人事、販売といった機能を持つERP「MJSリンク」や会計事務所向け経理業務アウトソーシング「エースリンク」を提供。これに日立ソフトが国内で独占販売するマイクロソフトの経費・旅費精算、勤怠情報、作業工数情報などを管理する業務アプリケーション「ITショーケース」、機密情報漏えい防止ソリューション「秘文」、各種生産管理システムなどを組み合わせて構築する。

 9月からは、日立のグループ企業などレガシー(旧式)システムを活用している中堅企業などに対し、MJSの全国営業担当と日立ソフトが共同でオープンシステムへのリプレースで共同プロモーションを進める。そして受注後のシステム構築を、基幹系システム統合で実績のある日立ソフトが行う。MJSが自社のユーザーである会計事務所以外を経由して中堅・中小企業向けに拡販するのは初めて。大企業向けシステム販売でチャネルを多く持つ日立ソフトも、中堅・中小企業市場では実績が少ないだけに、「両社の製品を組み合わせ弱点を補完するなかで、新たな市場が開拓できる」(MJSの是枝周樹副社長)と話す。

 さらに、両社は共同で、中小企業と金融機関を結ぶ金融ゲートウェイサービスを年内に構築する。MJSのエースリンクやMJSリンク、子会社のミロク・ユニソフトの会計ソフト「かんたん会計シリーズ」で保存したデータを、日立ソフトのデータ保存システム「電子文書保存レポートミッション」でCSVやXBRL(多言語に対応した拡張型財務報告用のコンピュータ言語)などの形式にデータ変換するシステムを構築する。さらに、メガバンクや地方銀行などの金融機関と、企業の融資申請手続きを仲介する機能などを持つ「資金調達支援システム」を共同開発する。提携する金融機関は、近く発表される見通しだ。

 MJSは、会計事務所向け専用機販売とサービスで業績を伸ばしてきたが、「このマーケットは寡占状態にあり、成長が見込めない。当社の強みである財務・会計と日立ソフトの基幹系ノウハウの融合で中堅・中小企業のERP市場へ本格的に参入する」(是枝副社長)と、日立ソフト以外のシステムインテグレータとも業務提携を進め、今後2年間でERPを中心にしたソリューションベンダーへと業態を変えていく方針だ。
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