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SRA 「ウィンドウズ対応で歴史的製品に」 PostgreSQL開発者に聞く

2004/09/27 21:09

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

 SRAのオープンソースデータベース「PostgreSQL(ポストグレスキューエル)」。先月中旬、約1年ぶりのバージョンアップ版「8.0」を発表した。ウィンドウズ上でも動作可能にし、「商用版と遜色ない機能」の新バージョンは、商用版データベース(DB)を脅かす存在となるのか。開発の中核メンバーであり、オープンソース関連事業を加速させるSRAで、データベースコンサルタント、PostgreSQLエキスパートを務めるブルース・モムジャン氏(=写真)に、新機能とオープンソースDBの可能性を聞いた。

 ──新バージョンの特徴的な機能は。

 モムジャン バックアップ機能の強化など、これまでにない多数の機能を盛り込んだが、ウィンドウズ上でも正常に動作するようにしたことが、最大の新機能であり、大きな進歩だ。今までウィンドウズ上で動かしたことがなかったので、やってみて気づいたことも多く、苦労も多かった。だが、UNIX、Linuxプラットフォームだけでなく、ウィンドウズにも対応させることに成功したことで、ユーザーの裾野拡大のための大きな問題を解決した。「8.0」の誕生で、オープンソースDBを知らなかったユーザーに使ってもらうための歴史的なバージョンとなった。

 ──オープンソースDBが注目を集めている要因は。

 モムジャン 商用版データベースと機能・技術面で差がなくなってきたことだ。4-5年前は、オラクルやマイクロソフト、IBMなどが提供する商用版データベースを買えない中小企業が、コストメリットに魅力を感じて利用するケースが大半だった。当時は、やはり技術・機能的に商用版と比べると見劣りする部分が多かった。だが、3年ほどから技術的に商用版DBとの差がなくなりつつなり、大企業が利用するケースが多くなった。それでコストだけではない、オープンソースDBの魅力を感じてもらえている。

 ──DBも含め、今後オープンソースが普及するための課題は何か。

 モムジャン フリーウェアだからといっても、技術的知識も必要であり、全てのユーザーがダウンロードして利用できるわけではない。SRAのようにサポートサービスを提供するような企業が、もっと増えてこなければならない。また、オープンソースの利便性をさらにアピールしていく必要もある。ポストグレスだけでなく、オープンソースのメリットは大きく、今後さらに普及することは間違いないだけに、開発だけでなく啓蒙活動にも尽力したい。
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