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韓国のIT行政 「U-江南」の中期計画発表 ユビキタス都市の初代モデルに

2004/11/08 21:15

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

【ソウル発】韓国IT産業のメッカと呼ばれる「テヘランバレー」があるソウル江南区。江南区は韓国で最もリッチな人々が集まる高級住宅街として有名である。また、もう1つ有名なのは、驚くほど進んだ行政のITインフラである。

 江南区役所は居住住民の60%以上となる10万人以上の電子メールリストを保有している。区役所の主要案件ごとに、電子メールを送信し政策に対する住民の意見を集めている。その結果、住民の意見に反してまで強行される施策がなくなり始めた。こうしたことから江南区役所は、2500年前に直接民主政治を実施したギリシアのペリクレス時代を再現したというユニークな評価を得ている。江南区役所には、連日、電子政府を研究する世界各国の専門家、行政担当者などの訪問が絶えないのもよく分かる。

 江南区役所は最近「U-江南」実現に向け中期実行計画を発表し、再び世界の関心を集めることになった。U-江南とはユビキタスとインテリジェントを合わせた造語である「Uテリジェント」都市建設を意味する。ポータル、行政、文化、福祉、環境、流通など6つの分野にモバイルとユビキタスといった次世代情報技術を活用していくことを目指した施策だ。

 来年からは区役所職員などにモバイル端末を提供し、外部から直接行政業務を行えるようにする方針だ。モバイル端末を利用し、不法建築物や飲食店の取り締まり、駐車管理、施設物維持補修に係わる業務を現場からすぐ処理してしまおうというわけだ。障害者手帳(福祉手帳)にRFIDチップを内蔵し障害者の外出先を把握できるようにしたり、迷子にならないようRFIDチップを内蔵した腕時計を幼児を対象に配布する計画も持っている。

 来年から2007年にかけて推進するこの「Uテリジェント」が完成すれば、江南区は世界で初めてのユビキタスモデル都市になるだろうと予想されている。すでに、江南区は00年「江南総合情報化事業」に着手、01年江南区ポータルサイトを構築し、建築物台帳のような主要行政文書のインターネット発給サービスとインターネット税金納付、米国の有名教育機関の教育を自宅で受けられるeラーニングサービスなどを提供しており、これらに加えて新たなユビキタス環境の提供で注目を集めることになりそうだ。(鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者))
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