ニュース

NECパーソナルプロダクツ 上海VMIを本格稼働 リードタイムを大幅短縮

2004/12/13 21:17

週刊BCN 2004年12月13日vol.1068掲載

 NECパーソナルプロダクツ(片山徹社長)は、中国・上海におけるパソコン生産のVMI(ベンダーマネジメントインベントリー=ベンダー管理在庫)を本格稼働させ、部品調達から納品まで2.5週間もの期間短縮を実現した。同社では、全生産量の5割を上海での生産へと移行させており、それを将来的には約7割にまで高める計画。上海VMIの定着がNECのパソコン生産の効率化に大きく寄与することになる。

 NECでは、山形県米沢市の生産拠点で特区制度による保税倉庫を活用したVMIを稼働させ、すでに成果をあげている。今回の上海VMIは、米沢の実績をもとに上海ならではの事情を踏まえた仕組みとしているのが特徴だ。NECパーソナルプロダクツの真壁雅雄・資材部調達サプライチェーングループマネージャーは、「中国の複雑な法制度や物流の仕組みを半年以上にわたり調査し、慎重に慎重を重ねて実現した」と語る。

 上海VMIでの最大の特徴は、上海市の外高橋保税区の保税倉庫を利用した部品調達だ。従来は、サプライヤーごとに通関させていたため、物流費用がその都度発生。さらに、通関までに約3日間かかるため、すべての部品が揃うのにタイムラグがあるという問題が発生していた。また、ノートパソコンで3社、デスクトップパソコンで1社のODM(オリジナルデザインマニュファクチャー)を利用しているため、一度、A社というODMに入庫した部品をB社に移動させようとしても、中国の税制上、18%もの課税や煩雑な手続きがあるため、ぞれぞれのODMに対し適正な部品供給が求められていた。

 上海VMIでは、これらを解決するために、保税倉庫で一度部品をストックし、必要な時に必要な分量をまとめて通関することを可能した。現在、液晶、メモリ、HDD(ハードディスクドライブ)、オプティカルドライブの4つのキーコンポーネントにおいて、13社のサプライヤーから調達している34種類の部品を対象としているが、物流コストの削減とともに、適正量を毎日通関させることで、ODMごとの不良在庫の削減を可能とした。さらに、一度保税倉庫に入った部品でも、日本の生産拠点へと移行させることもできるという。「物流コストだけで約2%の削減効果がある」(真壁グループマネージャー)ほか、過剰在庫の削減効果にもつながっている。

 一方、これまでODMに対し、すべての部品を揃えるために期間的に余裕を持って調達、入庫していたものが、保税倉庫を活用することで、その期間を短縮できる。従来、部品発注の段階から6週間以上、部品がODMの倉庫に入ってから約4週間かかっていた生産、出荷体制が、すでに2.5週間も短縮する効果を発揮しているという。
  • 1