シャープ(町田勝彦社長)は、PDA(携帯情報端末)事業のてこ入れを進める。昨年11月に発売したHDD(ハードディスクドライブ)搭載の「ザウルス」新製品「SL-C3000」が発売以来好調に推移していることから、今後の新たな需要層を開拓しPDA市場の拡大を進める。「パソコンや携帯電話、電子辞書などの専用端末と異なる新たな製品に育てる」(情報通信事業本部移動体通信事業部新モバイル端末開発プロジェクトチーム)方針で、これまでのPDAのイメージを払拭し、「脱・ザウルス」を意識した製品ラインアップを拡充していく。今後は、ボディー形状などの面でも従来のデザインに変更を加え、新たな市場を形成する戦略だ。

 シャープは、昨年11月にザウルスの新製品「SL-C3000」を発売。4GBのHDDを搭載し、大容量化するパソコンのデータを入れるストレージとして活用し持ち出すことや、音楽・映像ファイルを保存し携帯オーディオとしての利用もできることを訴求した。この結果、従来の需要層だけでなく、新たなユーザー開拓に効果があることが判明した。このため、これまでのPDAの殻を破る新たな戦略を展開し、従来のイメージを払拭することで「新しいモバイルスタイルを進化させていく」方針だ。

 新規ユーザー獲得のため、マーケティング戦略でも、携帯オーディオ売り場やデジタルカメラのデータのストレージとしての活用も提案し、既存のPDA売り場以外でも訴求していく。

 今後の商品戦略としては、ザウルスを進化させたモバイルスタイルのラインアップを拡充する。具体的には、海外でナビ機能搭載のPDAが注目されていることから、GPS機能を搭載したモデルを今夏をめどに製品化したい意向。

 また、2005年にも予定されている地上デジタルのワンセグ放送に対応し、通常のテレビ放送と同じ毎秒30フレームの高画質放送をザウルスで受信する技術開発に注力するなどの計画を進め、新たな展開を図る考え。

 一方で、コンシューマ向け市場を拡大させることで法人向け販売にも弾みをつける。現在は、コンシューマと法人の販売比率が7対3の割合となっているが、今後は全体の母数を増やすとともに、5対5まで法人向けビジネスを拡大していくことを狙う。さらに、日本での市場基盤を確立することにより、海外市場にも製品特性をフィードバックし、順次、新たな製品を投入することも検討していく。

 拡大を続けてきたPDA市場は、他の携帯型端末が独自色を打ち出すなか、伸び悩み傾向にあり、新規ユーザーの獲得が課題となっている。モバイルパソコンが処理能力を高め、携帯電話はコミュニケーション機能にAV(音響・映像)機能が加わり、専用端末はコンテンツの拡充を図っている。同社の「SL-C3000」が発売以降好調に推移しているのは、ハードディスク搭載が引き金となったと見ており、HDD搭載によりPDAの機能の多様化を図り、コンピューティング、コミュニケーション、コンテンツのそれぞれの側面から新たなアプローチを展開する考え。従来のPDAのイメージを払拭し、新たな使い勝手を提案し、ザウルスの使用領域を広げていく方針で、ラインアップの拡充により新市場を形成していくことを狙っている。