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ハイアット・リージェンシー・オーサカ 全館にデータ・音声通信環境構築 無線LANで顧客サービス向上

2005/04/25 21:37

週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載

 大阪市の南港地区(住之江区)に立地するハイアット・リージェンシー・オーサカ(HRO、横山健一郎総支配人)は、無線LANを活用し、全館でデータ通信と音声通信が利用できるデータ・音声統合環境を構築した。宿泊者や利用者はノートパソコンを通じて高速インターネットを無料で使える一方、ホテル従業員はPDA(携帯情報端末)やIP電話を通じて顧客の要望や求める情報を効率的に提供できる。HROでは、今夏を目途に従業員用端末を増やすとともに、サービスメニューを拡充し、密度の高いサービスを提供していく考えだ。

 大阪南港地区は、ワールドトレードセンターや国際見本市会場などが集まるビジネスゾーン。ここに立地するHROも主要顧客であるビジネス系利用者へのサービスを向上させることで、リピーターや新規顧客の獲得につなげたい意向があった。同時にこの地区は、インテル(グレッグ・ピアーソン/吉田和正共同社長)が世界で展開するデジタル・シティ・プロジェクトの日本における重点地域となっており、今回のデータ・音声統合環境も同社と野村総合研究所(藤沼彰久社長)が各種ベンダーのとりまとめを行い構築した。

 日立インフォネットの無線LANテクノロジーとフュージョン・コミュニケーションズのモバイルIPセントレックスを組み合わせることで、高層宿泊棟を含む全館でデータ・音声統合環境を安価に実現した。宿泊者や利用者は、高速インターネットを通じて、ホテル内のどこからでも業務が可能となり、無線LANプリンタから必要なドキュメントを出力できる。さらにホテル内での様々なサービスもパソコンを通じて利用できるメニューも増やす計画。

 一方、従業員はPDAなどを通じて、どこにいても連絡が可能になるほか、顧客からの問い合わせなどにもその場で対応できる。将来的には顧客の利用履歴などのデータベースとも連携し、よりきめ細かいサービス提供を可能にする考え。

 今回のシステム導入により、従業員は従来の固定電話とページャーによる業務に比べ、年間4800時間の業務効率化が可能になる。また、環境を整備したことで、コンベンションやカンファレンス開催の引き合いも増えており、売上増にもつながる。今後は南港地区の他の施設との連携を含め、ITの利便性を生かしたサービス向上を図る計画だ。
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