トレンドマイクロ(エバ・チェン社長兼CEO)は、4月23日から動作検証が十分でなかったパターンファイルを送信し、それによりユーザー企業などのシステム障害を起こしたことを受け、エバ・チェン社長兼CEOが急遽来日し今回の問題の対策や、今後の品質向上および顧客サポート強化のための対応策を固めた。問題となったパターンファイルのダウンロード数は約17万件にも及んだ。

 チェン社長兼CEOは、「最後のパソコンが復旧するまで、自分の月額報酬を594円にする」とした。「594」はパターンファイルの番号という。さらに「フィリピンのマニラにあるウイルス研究センターを統括する、オスカー・チャン上級副社長の報酬も50%カットする」(チェン社長兼CEO)ことも明らかにした。

 今回の問題に関してトレンドマイクロでは、「パターンファイルのチェック体制が甘かった」(大三川彰彦・執行役員日本代表)ことから、新たに10個のテスト項目を追加することを決定。時期は未定ながら「テストを専門に行う部隊を新設して対応する」(同)ことを決めた。さらに、パターンファイル公開前には事前案内を行うことや、eメールやFAX、ウェブサイトなどでの情報提供を24時間365日体制で行うことを決めた。法人ユーザーに向けては、各ユーザー企業に情報提供をする担当者を選定し、情報提供を迅速に行う体制をつくる。

 4月26日に東京で記者会見を開いたチェン社長兼CEOは、「何が悪かったのかをくまなく把握し、少しでも早くに信頼を取り戻せるように努める」と述べた。

 日本の法人ユーザーでシステム障害を起こした企業は合計652社。日本のユーザーからの問い合わせは、一般消費者からが32万6746件、法人が3万1265件(ともに4月26日14時時点)。問い合わせ件数は、「通常時に比べ、一般消費者からは約10倍、法人からでは2-3倍」(大三川執行役員)という。海外での障害は少なく、問い合わせ件数は日本を除くアジアパシフィック地域で114件、欧州および中東地域で10件、米国で1632件だった。

 今後、一般消費者向けに復旧・修正プログラムの入ったCD-ROMを家電量販店などで配るほか、特定の量販店に今回の不具合が原因で故障したパソコンを持ち込めば、無償修理することも予定している。また、横河キューアンドエーやスタートアップなど4社のサポート会社を通じて、復旧の出張サービスを無償で提供する。法人ユーザーに関しては、直接またはパートナー企業を通じて復旧サポートを提供していく。

 不具合は、4月23日の7時33分から同日午前9時2分までに公開したセキュリティソフト「ウイルスバスター」のパターンファイル(定義ファイル)「2.594.00」が原因。同パターンファイルをインストールした場合、CPUの処理能力が急速に低下し、コンピュータが動作しなくなるなどの問題が発生した。