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日本アボセント リモート管理で新領域を拡大 分散サーバーの一元化など

2005/07/25 21:45

週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載

 KVMスイッチメーカーである米アボセントの日本法人、日本アボセント(関根光次・ジェネラルマネージャー)は、分散配置された小型サーバー群を1か所でリモート運用管理したり、複数台のデスクトップパソコンをセキュア環境にするなど、KVMスイッチなどを利用した新事業領域の拡大を本格化する。これまでは、インターネットデータセンター(IDC)など大規模向けシステムを中心に事業を展開してきたが、ITシステムの集中的な運用管理やセキュリティへの関心が高まっている中小規模向けへも市場を広げる。同社では今年度(2005年12月期)、こうした積極策で、売上高を昨年度に比べ2倍以上に伸ばせると見込んでいる。

 同社は今年に入り、新事業領域に向けた製品を相次ぎ発売した。1月には、サーバーをインターネット経由で制御するシステム「DSシリーズ」を強化した。サーバーの接続装置「DSRシリーズ」に7モデルを追加したほか、IT管理者が1つのインタフェースからサーバーやネットワーク機器へ安全にアクセスできるソフトウェア「DS View 3」の受注を開始した。

 DSシリーズは、一式のキーボード、ビデオ、マウスで複数台のパソコンを操作するKVMスイッチから進化したシステム。インターネットに接続した監視用パソコン画面に、DSRシリーズに接続したサーバー画面を表示し、監視パソコンからサーバーの文字入力やGUI操作ができる。さらに、オプション製品として、遠隔地のサーバー電源を切るなど、シリアル系統を操作できる「リモート・シリアル・コンソール」を揃えた。

 新DSRシリーズでは、大規模向けに加え、初めて「ブランチ・オフィス」向けを用意した。すでに、多店舗を展開する外資系の大手スーパーが、同シリーズを利用して国内各店舗にある管理者不在の小型サーバーを一括して米本社で集中管理している。「場所を問わず、リモート運用管理できるため、IT管理者の負担が軽減できる」(関根光次・ジェネラルマネージャー)として、流通や金融機関などへの拡販を強化する。

 一方、4月には、デスクトップパソコンのPCIバスを延長してブレードPCやシンクライアントに似たセキュリティパソコン環境を実現できる「デジタル・デスクトップ・システム(DDS)」シリーズをリリースした。「個人情報保護法」の完全施行でセキュリティへの関心が高まるなか、情報漏えい防止対策製品として売り込む。

 DDSシリーズは、パソコン本体をサーバールームに置き、PCIバスを延長して、キーボード、ビデオ、マウスだけをユーザー側に提供する製品。パソコン本体をIT管理者が一元管理でき、内部情報漏えいなどを防止できる。関根マネージャーは、DDSシリーズの優位性について、「ブレードPCは1ラック100台程度で購入する必要があり、既存パソコンを廃棄することになるため、コスト負担が大きい。だが、DDSシリーズは、既存のIT環境を生かし、小規模からセキュリティ環境を構築できる」と話す。

 同社は、これら新事業領域を開拓するため、サーバーの新規設置や分散環境を統合化することに実績のあるシステムインテグレータなど、販売パートナーの開拓を本格化させている。
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