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電子技術の産業スパイが急増 スマートフォン技術も危機一髪

2005/12/12 12:47

週刊BCN 2005年12月12日vol.1117掲載

 【ソウル発】250億ウォン以上の研究開発費が投資されたスマートフォン関連技術を流出させ、中国で新規事業を始めようとした三星電子と系列会社の前・現職研究員2人が検察に拘束された。

 7月にはハイニックス半導体の前研究員7人が最先端半導体製造技術を盗み出し、中国に工場を建てようとして検察に摘発されたばかり。海外の競争会社に情報をこっそり売り飛ばしていた過去の事例とは違い、手口はどんどん大胆、大型化している。

 ソウル中央地検先端犯罪捜査部は11月17日、三星電子PDA用ソフトウェア開発部門研究員と、前三星電子汎用モバイルCPU開発部門研究員を不正競争防止および営業秘密保護に関する法律違反で拘束、起訴した。また系列のエスワン技術研究所アプリケーションテクノロジーチーム研究員と、マイトロテクノルロジースの代表を同じ疑いで起訴した。

 三星電子の研究員2人は大学時代、三星電子が主催するソフトウェア大会に参加するなど入社前から三星の支援を受けていた。三星側は「流出したGSM方式スマートフォン技術が競争企業に渡っていたら最大8兆8000億ウォンの損失が発生しただろう」と推測している。

 大手企業は核心技術の流出を防止するためセキュリティを強化しているが、国家情報院の調査によると産業スパイや社員の情報流出は2003年の6件から04年は26件に増えている。今年は10月末ですでに27件に達している。03年以後摘発された59件を分析してみると最も多かった業種は電機電子(26件)、情報通信(15件)、機械(6件)、生命科学(3件)の順だった。

 三星電子は個人のノートパソコンやポータブルメモリの持ち込みを禁止し、空港のX線ゲートのような設備で手荷物検査を強化している。またパソコンからポータブルメモリは利用できないようになっていて、大容量電子メール発送も遮断される。インターネット上にファイルを保存できるストレージサイトやコミュニティサイトへのアクセスも遮断されている。カメラ付き携帯電話を生産していながら、半導体工場や重要な事業場では、携帯カメラの持ち込みは禁止。

 だが、限界があり、どんどん増え続けているストレージサイトをすべてシャットアウトできるわけではない。関係会社や下請会社のセキュリティがしっかりしていないため技術が流出したケースもあった。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
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