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キヤノンソフトウェア 3年後に外販比率を5割に 自社ソフトでソリューション拡大

2006/05/15 17:51

週刊BCN 2006年05月15日vol.1137掲載

 キヤノンソフトウェア(実松利幸社長)は、2008年度(09年12月期)までに、外販比率を現在の3割から5割に拡大する。これにより、売上高で毎年2ケタ成長を続け、東証1部上場を目指す。3月28日付で就任した実松新社長が本紙取材で明らかにした。自社商品のウェブアプリケーションの自動生成ツール「Web Performer(ウェブパフォーマー)」などを利用して、企業向けのソリューション提案やキヤノン本体で利用しているCAD関連製品などを一般企業向けに拡大する。

 同社は1978年にキヤノングループのシステム子会社として設立。グループ内のシステム開発・保守を中心に事業を展開。03年に東証2部に上場した。04年には、「ウェブパフォーマー」など自社ソフトを開発し、グループ外のソリューション事業を拡大している。昨年度は、売上高に占める外販比率が約3割に増えた。

 今年度は、自社ソフトの「ウェブパフォーマー」で既存顧客のウェブアプリケーション開発を短期間に構築する取り組みのほか、社内承認プロセスを自動化するツール「Web-CADDY/J(ウェブキャディージェイ)」を利用した内部統制関連のソリューションなどを拡大する方針だ。

 実松社長は「人的、情報のリソースを共有し、ソリューション関連の事業本部を一体運営する。新規企業の獲得は難しく、今年度は既存顧客の価値向上を目指した提案を増やす」と、直販とパートナー販売で自社ソフトを利用したソリューションを拡充。自社ソフトやウェブメソッドのEAI、日本オラクルのERP(統合基幹業務システム)などと他社製品と連携したビジネスプロセスの最適化を進め、内部統制を強化する企業ニーズなどにも応えていく。

 さらに、キヤノングループの事務機製造に利用していた3次元設計・製造ソリューション「OneSpace(ワンスペース)」製品群を、グループ外の事務機や電機、自動車など製造業向けの外販を強化。昨年度は、CAD製品の売上高外販比率が全体の約21%になったが、早い段階でこれを5割に引き上げる。

 ソリューション事業の拡大に伴い、実松社長は「足場固めをするため、人材育成を強化している」という。プロジェクト管理の国際資格「PMP」有資格者を現在の39人から順次増やす。システム開発の上流で不十分な「要件定義」による不採算案件をなくすことを目指す。

 同社の昨年度の連結売上高は約170億円(前年比5.6%増)、経常利益が約11億円(同14.6%増)で、3期連続増収増益を達成した。01年度に2%台だった経常利益率は、昨年度で6.2%に向上。計画によると、08年度までに経常利益率を7.5%に引き上げ、従業員1人当たりの売上高を現在の1800万円から2500万円に引き上げる。
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