ニュース

三星電子 携帯関連で特許紛争に巻き込まれる 敗訴すれば900億ウォンの使用料

2006/07/03 17:57

週刊BCN 2006年07月03日vol.1144掲載

【ソウル発】「チョンジイン方式」といわれる携帯電話キーパッド入力方式をめぐる三星電子と個人の特許紛争が2002年から続いている。6月5日、これまでの判決をくつがえして個人の特許を認める判決が出た。

 特許審判院は95年5月に三星電子が特許出願し、98年8月登録された「文字入力コード発生装置および方法(チョンジイン方式)」の発明を無効にすると決定した。個人のチョウ・クァンヒョン氏は三星電子と自分の特許は方式が違うため自分の特許を無効とした特許審判院の決定を取り消すよう訴訟を起こし、審判院は「二つの発明は携帯電話のキーパッドの三つのキーに母音を一つずつ割り当て、残りのキーに子音を割り当てる。母音コードを発生させる構成は同じだが、子音と母音を出力処理する方法に差があるため同じ発明ではないと判断し、三星電子の特許は技術記載不備により無効とする」と明らかにした。

 記載不備による特許無効は、「技術の公開を少なくし、一方で特許の申請範囲は広くしようとしたため認められない」と判断されたもので、通常、他の特許権者の被害を最小限にするため訂正申請はほとんど受け入れない。このため三星電子の携帯キーパッド技術は個人の特許を侵害したことになる。三星電子は控訴する計画だ。

 チョウ・クァンヒョン氏は「96年にチョンジイン方式で特許出願、99年特許権を得たが、98年三星電子がこれを無断で使用した携帯電話端末を発売、02年まで3000万台を生産、1台3000ウォンで合計900億ウォンの使用料を払わずにいる。三星電子は自分たちも特許を持っているというが、三星の携帯キーパッドは三星電子の特許ではなく私のアイデアを模倣したもの」と主張し、02年から訴訟を起こしている。従来の判決は三星電子とチョウ・クァンヒョン氏の特許は同じものであるとし、チョウ氏の権利を認めない判決ばかりだったが、今回初めて特許が認められた。チョウ氏は、ソウル高等裁判所には損害賠償訴訟の控訴審、特許裁判所には別の特許権訴訟を起こしている。

 また昨年12月にはKTが端末キーパッド入力方式の一つである「ナラッグル」の特許権を買収、ベンダーを緊張させている。

 韓国の携帯電話の文字入力方式は三星電子がチョンジイン、LG電子がezハングル、ペンタックがハングルサラン、VKがスンリハングルと、ベンダーごとに違う方式を採用している。特に韓国ではSMSがキャリアに関係なく送受信できるため、携帯メールに代わって一般的に利用されてきた。文字入力方式が変わるとSMSが使いづらいという理由で、キャリアは変えてもベンダーは変えないユーザーが多い。KTは固定電話を携帯電話のように使えるワンフォンなどに自社の入力方式を採用し、ベンダーに対しての主導権を握りたい様子だ。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
  • 1