ペンタブレットメーカーのワコム(山田正彦社長)は、一般ビジネス用途での需要開拓に力を入れる。コンピュータグラフィック制作の入力装置として広く普及してきたペンタブレットだが、業務アプリケーションなどを操作する一般ビジネス用途の開拓は、「手つかずに近い」(小見山茂樹取締役執行役員)状態だった。業務システムと連携した幅広い用途提案を行うなどで、一般ビジネス用途を含む非グラフィック用途の伸び率を既存のグラフィック用途のおよそ2倍の勢いで伸ばしていく強気の計画を立てる。

 用途別の売上高構成比は主力のグラフィック用途がおよそ半分、比較的早い段階で需要が拡大した医療、教育分野での用途が約4分の1を占めてきた。残りがメーカーなどへのキーコンポーネントの販売や一般ビジネス用途向けが占める。グラフィックや医療、教育に比べて一般ビジネス用途の比率は低く、これまで十分に開拓できていなかった。

 医療分野では主に電子カルテへの入力装置として販売が進み、教育分野では低学年の子供でも簡単に操作できることなどから、需要が広がった。だが、一般ビジネス需要の掘り起こしは「これからが本番」と位置づけ、製品ラインアップの拡充をはじめ、SIerや業務ソフトウェアの開発ベンダーなどとの連携を強化することで開拓を進める。

 グラフィック用途ではマウスパッドのような板状の装置を使ってペンの位置を検出する方式が主流だが、ビジネス用途では液晶モニターにペンで直接入力する“モニター一体型”が主流になるとみる。より直感的に操作でき、ペン入力に慣れていない一般のユーザーにも受け入れられやすいのが理由だ。誰でも使いこなせる品揃えを増やすことで、ユーザーのすそ野を広げる。

 SIerなどと連携することで、ペンによる入力作業が効率的に行える操作画面の設計や、ペンが得意とする“手書き”機能を生かした業務ソフトを増やし、ペン入力を普及させる。

 グローバルのパソコン出荷台数のうち、ペンタブレット機能を装着している比率は推定1%と低い。中期経営計画では2010年3月期の連結売上高を昨年度の2倍近い500億円と想定しており、装着率の拡大が急務。ワコムのグローバルでのシェアは80%あまりとすでに高いことから、売り上げを倍増させるには装着率も単純計算で倍にする必要がある。一般ビジネス用途の開拓を加速させることで装着率を高め、売り上げ増に結びつける。