【上海発】ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)が昨年5月23日に発表した報告によると、中国における2005年度の違法コピー率は86%。前年度より4ポイント下がったが、依然として世界でワースト5にランクされている。WTO(世界貿易機関)加盟以降、中国は先進諸国から違法コピーが多いことを頻繁に指摘されている。今年4月9日、米国政府は中国の海賊版・模倣品対策が不十分であり、当局の取り締まりが甘いとしてWTOに提訴した。だが、ここ数年の中国の努力はそれなりに評価しなければならない。

 4月23─27日、中国大連市版権局版権管理処(=課)元処長で、現在、同市版権保護協会会長を務めている李東平氏が、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の招聘で東京を訪れ、関係官庁との情報交換のほか、中国ソフトウェア著作権保護状況に関心をもつ企業との交流や講演を通じて、最前線の情報を伝えた。

 中国では、中央政府や省政府、一部の市政府に版権局という著作権行政管理部門が設置されている。版権局にはエンフォースメント(法執行)の権限が与えられており、権利侵害行為が確認され、同時に公共利益が損なわれた場合には、版権局は侵害者の行為を差し止め、違法所得を押収し、罰金を課すことができる。

 各版権局は政府の指針に従って施策を展開しているが、最も注目されているのは、中国唯一の「著作権保護パイロット都市」である大連市版権局の動きであろう。

 大連市は、日本にとって馴染みの深い都市だ。日本語が話せる人が多いこと、物流システムが発達していること、人件費が安いことなどのメリットがある。大連のテレビ局によれば、06年11月末までに同市に登記された日系企業数は2408社にのぼる。同市の外資企業総数の34.8%を占め、登記資本金は43.02億ドルという。日本は明らかに大連市の外資投資の最も大きな拠点となっている。

 このような状況もあって、大連市は早い段階で「ソフトウェア立市」の戦略を立て、IT産業の振興に取り組んでいる。ソフトウェア産業基地、ソフトウェア輸出基地、情報サービス・アウトソーシング基地など、国家レベルのプロジェクトが大連市で立ち上がっており、やはり国家級に位置づけられる唯一の「ソフトウェア・情報サービス交易会」が、毎年6月に同市で行われている。

 大連市版権保護協会の李会長によると、これまで大連市版権局は正規版ソフトの使用について、大連市にある約1000社の企業を対象に、18回にわたって説明会を開いているそうだ。ソフトウェアを違法コピーしている企業に対しては、一定の期限を設け、違法コピーを削除し、正規版を購入してインストールするよう求めているという。期限内に応えなかった企業に対しては、社名をメディアに公開し、法的責任を追及する。なお、正規ソフトウェアの購入予算を計上して資金を確保しなければならないことや、ソフトウェア正規版化についての予定表の作成と版権局への提出を通じてその実施を確保しなければならないこと、知的財産権保護に関する長期間有効な体制を構築して各担当者の責任を明確にすることなども同時に要請した。ここ数年間で同市版権局は、公安などとともに200社余りの内資系・外資系企業に対して立ち入り検査を行ったそうだ。法律に違反した企業に対しては行政処罰が課されている。

 これだけの日系企業が現地にあることから、外資の中でも日系企業への対応に重点を置き、「正規版化」を推進する対策を採る、と李会長は語った。今後、ACCSのほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)大連事務所などと連携して日系企業向けの啓発活動を行うことを計画している。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、shanghai@accsjp.or.jp)