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■韓国の携帯コンテンツ事情■携帯電話の新収益モデル 新型待ち受け画面の開発盛んに

2007/09/03 22:20

週刊BCN 2007年09月03日vol.1201掲載

 【ソウル発】カラリング(通話連結音、日本では「待ちうた」)、デジタル音楽に続いて、韓国の移動通信市場では「待ち受け画面」が新しいキラーアプリケーションとして注目されている。今までの待ち受け画面とは異なり、世界的に流行しているWidget(ウィジェット)が使える待ち受け画面が続々と登場しているからだ。

 韓国ではアップルのiPhoneにウィジェットが搭載されてから、モバイルウィジェットにユーザーの関心が集中している。ウィジェットとは、特定機能を遂行するアクセサリーソフトウェアのことで、時計やカレンダー、メモ帳、ニュースなどユーザーがすぐに使いたいアプリケーションを選択して待ち受け画面に配置できる。ノキアも2007年末までには携帯電話からウィジェットを正式に利用できるようにすると発表した。ベータサービスはすでに昨年10月から開始している。

 韓国の携帯電話キャリアもこの夏から続々とモバイルウィジェットサービスを公開している。最大キャリアのSKテレコムはウィジェット機能が含まれた「T─インタラクティブ」を提供している。これは携帯電話の待ち受け画面からニュース・天気予報などリアルタイムで更新される情報が使用料もデータ通信料もかからずに利用でき、頻繁に使うコンテンツや機能のアイコンを表示できるようになっている。さらに詳しいニュースを読む場合は有料で、データ通信料も加算される。

 SKテレコムの発表によると、今年4月に始まったT─インタラクティブの累計加入者数は7月末で約34万人を突破している。2000万人に近いSKテレコムの加入者に比べ34万人は少ないかもしれないが、T─インタラクティブに似たような待ち受け画面にコンテンツを表示するサービス「1mm」は、2年間で22万人にとどまっていた。SKテレコムのT─インタラクティブ対応端末は、56種に及び、ほぼどんな携帯電話からでも利用できるという点が加入者増につながっている。

 08年に登場する「T─インタラクティブアップグレードバージョン」では事業者があらかじめ設定しているなかでユーザーが選択する方式だったが、これを改善、ユーザーが直接画面を構成して利用したいサービスを何でも待ち受け画面に表示できるようになる。

 携帯電話会社のKTFも「顧客連携型デスクトップサービス」として「Pop─Up」という待ち受け画面から、ほしい情報だけをアイコンにして設定できるサービスを開始した。「Pop─Up」は待ち受け画面から証券情報・交通情報・ニュース・位置基盤地域情報を利用できる。データ通信料は無料。モバイルインターネットにつないで検索しなくても待ち受け画面からすぐに確認できるので、時間と通信料の節約になるということで、加入者が増えている。

 モバイルソリューション企業も相次いでウィジェットを携帯電話の待ち受け画面に利用できるようにするソリューションを発表し、競争を繰り広げている。モバイルウィジェットの活性化のためには、より多くのウィジェットを作れるようにしなくてはならないと、スクリプトとHTMLなどを導入したりフラッシュのようなベクター形式のグラフィック技術を活用して制作する方法を業界で検討している。またモバイルソリューション企業はウィジェットを開発できるソリューションのほかに、より個性的でユーザーの好みに合わせた特別な提案に向けて頭をひねっている。
 趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
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