透明度高く、発注元にもメリット

 SIerの首都圏コンピュータ技術者(横尾良明会長)はジョイントベンチャー(JV)方式での受注拡大を目指す。内部統制の強化や情報漏えいを防ぐニーズが高まるなか、下請けを多用する不透明な階層構造を是正することで受注拡大を狙う。まずは大手SIerやユーザー企業の情報システム子会社からソフトウェア案件を二次受けしていたものからJV方式での受注を本格化。早い段階で元請け案件へ適用範囲を拡大させる。

 同社は約1800人のSE・プログラマの技術をもつ個人事業主がソフト開発の主体となる形態のSIerで、昨年10月に協同組合から株式会社に組織変更した。協同組合時代は組合が受注したソフト開発案件を組合員(=個人事業主)で構成するJVでの受注方式を実践、実績を積んできた。株式会社化後は、さらに一歩進めて他のSIerとのJVを推進する。まずは大手SIerや顧客企業の情報システム子会社が元請けした案件を中心にJV方式で請け負う。

 発注元は通常、自ら直接発注した企業に指示を出すことは可能だが、その先の三次受け、四次受けの状況を把握するのは難しい。JVの場合、代表企業はいるものの、基本的に役割別による横並び組織だ。このため発注元は各社がどのような体制で仕事を進めているかを把握しやすくなる。取引の透明度が高まることで、「内部統制や情報漏えいの防止に責任を持つ発注元企業にとってのメリットは大きいはず」(横尾会長)とみる。

 JV参加企業に向けては、受注金額や求められるスキル内容をオープンにする。自らの開発能力やスキルに応じて受け取る報酬を決められるようにすることでモチベーションを高める。手始めに首都圏コンピュータ技術者をはじめとするソフト開発ベンダー約100社からなる首都圏ソフトウェア協同組合のメンバーに参加を促す。

 今年度(2008年8月期)の売上高は昨年12月に7社のソフト開発ベンダーと合併したこともあり、前年度比約2割増の120億円を見込む。他社とJVを組むことで比較的大きな案件でも受注できる体制をつくる。JVの実績を積み、信用度を高めたうえで、エンドユーザーからの元請け案件の受注拡大を目指す。これにより成長を加速。来年度(09年8月期)も今年度並みの高い成長率の達成を目指す。