日立製作所系保守サービス会社の日立電子サービス(日立電サ、百瀬次生社長)は、来年度(2010年3月期)から4か年中期経営計画をスタートさせる。現在推進中の3か年中計が今年度で終了することに伴い、新たな中期ビジョンを示した。新中計の骨子は主に3点で、(1)利益重視の事業基盤整備(2)海外事業強化(3)中堅・中小企業(SMB)を含めた顧客基盤の拡大――。保守サービス事業の脱皮を標榜した現中計以上に挑戦的な目標を掲げ、顧客のすそ野拡大と高収益体質確立に挑む。

 新中期経営計画の構想は、百瀬社長が自ら明らかにした。新中計では、まず売上高の増加よりも利益率の向上を重視することを基本姿勢とした。現在推進中の中計では、過去2年間増収増益で、今年度も売上高・利益ともに前年度を上回る見込み。売り上げも伸びているが、百瀬社長は「強固な経営基盤作り」を重視する考えで、高収益体質の確立を優先する。具体的な数値目標は明らかにしないが、利益率向上策として保守サービス業務の効率化を挙げている。「CE(カスタマ・エンジニア)の業務効率を2倍に引き上げる仕組みなどのプラン作りを進める」(百瀬社長)という。

 2番目に挙げるのが、海外市場向けビジネスの拡大。日立電サは、海外拠点を10か所設置しており、競合他社よりも海外ビジネスを手がけやすい優位性をもつ。現在でも技術支援などのエンジニアリングサービスを手がけてはいるものの、規模が小さいこともあって国内市場のような展開は行っていない。新中計の期間内に国内で行っているようなITインフラの設計から構築・運用・保守までのサービスを海外でも展開したい考えで、そのための準備を来年度から始める予定だ。具体的な市場としては、米国と欧州、中国を検討している。

 一方、顧客の拡大プランでは、特に中堅・中小企業(SMB)の開拓に力を入れる。現在の中期経営計画で日立電サは、保守サービス会社からの脱皮を宣言し、SI力に長けた日立グループ会社を吸収するなどして、アプリケーション導入を除いたITインフラの設計・構築・運用・保守サービスを総合提供する体制を築いた。新中計では整備したサービス基盤を武器に、新規顧客獲得に本腰を入れて取り組む。

 具体的にはユーザー企業・団体を業種、企業規模、地域の3項目で区分し、それぞれの区分に適したサービス・ソリューションを体系化して提案する。とくに、SMBは潜在顧客が多いと判断しており、SaaS型運用・監視サービスなどを主要サービスに位置づけて開拓する。

 百瀬社長は、「売り上げを増やせないということではない。ただ、景気後退の影響もあるだろう。売り上げが横ばいでもしっかりと利益が出せる、持続的に利益を伸ばせる体質づくりに力を入れたい」と基本戦略を話している。

 なお、現中計は3年間のプランだったが、2012年に設立50周年の節目の年を迎えることから、新中計では4か年計画にしている。