エフセキュア日本法人の設立10周年に際して、フィンランド本社のキモ・アルキオ社長兼CEOが来日した。同社は8年前からSaaSを提供し、成長を遂げてきた。アルキオCEOは、「引き続きSaaSに力を入れるとともに、固定通信や移動体通信の融合なども見据え、モバイルについても積極的に展開していく」と、これからの展開を語った。

──世界同時不況の影響は?

 セキュリティ市場の成長率が、グローバル規模で10%から8%に落ちたという調査結果が出ている。しかし、当社が受けた影響はごくわずかだった。

──影響を受けなかったのはなぜか。

 当社はコアビジネスとして、セキュリティ・アズ・ア・サービス(SaaS)をブロードバンドのサービスプロバイダ(ISP)に展開している。世界中の190社を超えるパートナーを通じて、消費者に向けてビジネスの機会を増やしてきたからだと考えている。また法人顧客にも長年サービスを提供し、ご満足いただいている。

──SaaSは追い風か。

 業界全体でも、SaaSが成長している。当社は8年前からSaaSを展開してきたパイオニアで、それがDNAとして根づいている。グローバルでもパートナーのなかで需要が高まり、促進する動きに弾みがついている。

──注目しているITの動きは何か。

 スマートフォンといったモバイル機器の普及、それにクラウドコンピューティングだ。固定通信と移動体通信の融合は長年いわれてきたが、帯域幅と高速移動体通信規格のHSDPA、LTEといったネットワークが普及すれば、PC、モバイルの両方から利用できるサービスが実現する。また、クラウドコンピューティングでは、昨年9月、アンチウイルス製品「F-Secure Internet Security 2009」で「ディープガード2.0」の提供を開始した。疑わしいファイルのシグネチャをクライアントPCから当社の「リアルタイムプロテクション」のサーバに送信し、ミリセックベースで防護を実現する。

──競合他社は、社内機密情報の保護製品をもつベンダーを買収している。

 機密情報保護製品は、当社の製品・サービスにはない。M&A戦略は何年もの間、重要な項目であると認識している。ただ、例えばどんなサービスを市場に出して行くか、内製するか買収するか、財務状況などを考えて判断することになる。

──昨年、アジア・パシフィックでは中小市場に注力すると聞いた。今年は?

 グローバルでの成長の筆頭がISP向けのビジネスであり、日本でも同じことが言える。法人ビジネスでは、SIerや販社、マネージドセキュリティサービスプロバイダなどと協力し、中規模の企業に対し拡販を狙う。日本市場では、教育分野でシェアを伸ばしている。また、重要と考えているのがモバイル向けの製品だ。全売上高に占める割合はまだ3%だが、長期的には重要になる。固定通信と移動体通信の融合でPCとの垣根がどんどんなくなれば、SaaSのコンセプトが生きてくると思う。

──最後に一言。

 セキュリティサービスは、すべてのエンドユーザーにとって非常に重要だ。当社はエンドユーザーに対して、高いレベルのサービスを提供する自信がある。それは長年の実績が証明している。今後もパートナーと一緒に成長していきたい。(鍋島蓉子)