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PCA 診療所向けトータル製品、12月出荷 販社、事務機ディーラー経由で販売

2009/11/05 21:43

週刊BCN 2009年11月02日vol.1307掲載

 ピー・シー・エー(PCA、水谷学社長)は、医療機関向けビジネスを本格的に開始する。昨年8月に医療システム開発ベンダーのマックスシステムを子会社化。今年12月24日には、両社共同事業で初のパッケージを発売し、入院施設(ベッド)をもたない「無床一般診療所」や新規開業診療所などに対してPCAの既存パートナーなどを経由してトータル提案する。今後1年間で1000システムの導入を目指す。

 PCAは昨年10月31日付でマックスシステムの株式80%を取得し、同社を子会社化した。マックスシステムは、ベッド数100~400床規模の病院向け医事会計や電子カルテ、オーダリングなど医療システムを得意としている。

 来年4月からはベッド数20床未満の開業医などに「レセプト(診療報酬明細書)オンライン化」を義務づけられる予定。政権が民主党に交代し、義務化が実行されるかは微妙な情勢だが、「医療機関全体のIT化は進む」(折登泰樹・専務取締役)と、同社の医療法人会計ソフトとの相乗効果で、診療所やクリニック(全国約8万7000施設)に向けて事業を拡大できると判断した。

中平栄富 事業部長

 新発売するパッケージは、中小規模の医療法人をターゲットにした財務会計ソフト「PCA医療法人会計」と、マックスシステムの医事会計、電子カルテシステムを刷新しシリーズ化して新たに販売する。医療機関向け電子カルテと医事会計をセットにした「PCA Hymarks Clinic」で標準価格は約220万円。用途に応じて財務会計、医事会計(窓口業務、レセプトなど)、電子カルテを安価でトータルに提供する。

 国内の医療システムは、三洋電機や富士通、日立製作所、東芝系列のベンダーで約8割のシェアを占めている。これらは、中・大規模病院を対象としており、小規模病院にまで事業領域を広げているベンダーは少ない。また、電子カルテの導入率は「無床一般診療所」で13%と低い。この領域は新規開業が年間で1000施設も増える新しい市場である。

 医療事業を担当する中平栄富・メディカルソリューション事業部長は「市町村など自治体独自の医療制度に対応する必要がある」と、「無床一般診療所」で主流となっている“紙ベース”のレセプト請求などを、IT化することで効率化するニーズは高いとみている。

 今回の新製品は、簡単操作でスピード入力できるUIに加え、低価格のうえにリモートで障害対応できるなど、IT人員が不足する診療所に適した製品・保守サービスに仕上げられている。

 PCAは、全国のパートナー2000社のうち医療関係システムを手がけるSIerや医療機関にプリンタなどを納めている事務機ディーラーなどの販売体制を順次整備する計画だ。(谷畑良胤)

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