ソフト開発のCOM-ONE(石川県能美市、米田稔社長)は、産学連携を通じて新規ビジネスの創出に力を入れる。地元大学や研究機関と連携し、災害時の情報共有や古文書の閲覧システムの開発に参加。最先端のソフト開発技術を身につけることで、同社独自の新規ビジネスの立ち上げにつなげる。古文書の閲覧システムは、この4月から商用化に向けた活動を本格化させた。

米田稔社長
 COM-ONEは、北陸先端科学技術大学院大学のキャンパスに隣接したエリアに本社を構え、地元の大学や研究機関との産学連携を通じた技術開発に積極的に取り組む。同社は、大手ITベンダーなどからの受託ソフト開発が売り上げの多くを占めるが、同業者間での取り引きの構成比が大きいと、オフショア開発の進展や不況時の外注費削減の煽りを受けやすくなる。このため、産学連携をテコに新規ビジネスの創出に力を入れる。

 その第一弾として、北陸先端大の研究者らと連携して開発した古文書の閲覧システムの商用化を推進する。名称は「KuKuRI(ククリ)」。痛みやすい古文書をデジタル化し、注釈などを添えて閲覧できるもので、「資料館や博物館などをターゲットとした提案活動を本格化していく」(米田社長)。

 また、金沢大学の研究者とは大規模自然災害が起きたときに市民や公的機関の情報共有を可能にするシステム「ε-ARK(イーアーク)」の開発を進める。普段使っている携帯電話やメール、インターネットなどの既存のITインフラを使い、災害時に寸断された情報網を迅速に再構築するものだ。具体的には、携帯やパソコンなどの情報機器にソフトウェアルータやゲートウェイ、メールサーバーなどを導入し、災害時の避難所や炊き出しの情報、身内や友人の生存確認などができる伝言板などに活用する。ε-ARKは、すでに開発済みの「KuKuRIよりも技術的なハードルが高い」(米田社長)が、2011年3月までに実用化のめどをつける。

 ε-ARK、KuKuRIは、ともに総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)に採択された案件。産官学の連携を通じて、より難易度の高い技術開発に取り組むことで、市場競争力を高めていく方針を示す。(安藤章司)