【台北発】アジア最大のIT見本市、ComputexTAIPEIが、6月1日、台湾・台北市の台北世界貿易センターで開幕した。毎年6月初旬、IT製品製造の集積地である台湾で開催されるこのイベントには、台湾IT業界のみならず、世界のITメーカーが参加する。ベガシステムズ・若尾和正社長の現地取材レポート第2弾をお届けする。

 2日目は、朝から雨。まだ見ていないブースの訪問に全力をあげる。しかし、朝一番の登録コーナーに相変わらず人だかりはなく、昨年に比べて入場者はかなり減少していると思われる。

 いつもなら南港ゾーンに出展するASUSTeK Computerだが、今回はメイン会場に隣接する別館を1社で独占しており、勢いを感じた。存在感は際立っている。

 話題のiPadの対抗馬といえるASUSの製品を手に取った、サイズはiPadとほぼ同じだが、後発ゆえの工夫が随所にみられる。例えば、ASUSにはキーボードが付属したモデルがあり、電気部分は非接触で着脱できるので、普通のノートPCとして使うことができる。OSがWindows 7であることを考えると、“iPad対抗馬”として十分な力を備えていると思われる。ビジネスでの利用には一抹の不安が残るiPadだが、OSがWindows 7であれば、問題はないはずだ。

ASUSTeK Computerが出展したタッチ操作のタブレット端末

人気を集めるASUSTeK Computerのブース

 南港ゾーンでは、インテルのブースの勢いを肌で感じることができた。一昨年は拮抗していたAMDだが、現時点では、残念ながら明らかに旗色が悪い。隣接するAcerやmsiも大きなブースで展開。昨年はWindows 7発表前ということで大変な人だかりだったマイクロソフトだが、今回は目玉がなく、やや元気がないように感じた。

インテルのブースには例年以上の存在感がある

 2日間でほぼ全ブースを回ったが、今回のComputexTAIPEIの最も大きな特徴は、やはりタブレットに代表されるタッチパネル関連製品だろう。タッチパネルそのものは目新しい技術ではないが、Windows 7がOSとして標準サポートした意味は大きい、多くの会社が、かなりの力を入れて製品を発表している。

 しかし、これはある意味“諸刃の剣”であることを考えておかねばならない。タッチパネルデバイスが普及すれば、マウスなど周辺製品の需要は減少するだろう。現に、今回ワイド画面が主流となったノートPCは、これまでは周辺機器として後から買わなければならなかった「テンキー」を標準装備している。今後は、15インチ程度のノートPCユーザーには、テンキーは売れなくなるに違いない。

 iPadは確かに新しい製品分野を切り拓いたと思うが、この登場は、思いもかけない製品の淘汰という余波を伴うかも知れない、その意味では、極めて存在感の大きな製品といえる。台湾IT業界は複雑な思いだろう。

 それでも、ここまで力をつけて来た台湾IT業界は、間違いなく“iPad対抗馬”を投入してくるし、最終的にはアップルの一人勝ちにはならないと思う、現に、ASUS以外にも複数社が参考モデルを発表し、秋に向けて激戦が予想される。表面的には熾烈な競争をしているかにみえる台湾IT業界だが、“外敵”に対しては結束して一枚岩となる、大陸(中国)での展開をみれば、それがわかる。

 小さな国であればこその強みを、存分に発揮する台湾。CompuexTAIPEIを訪れるたびにそう感じるのは、筆者だけではあるまい。アップルと競合することで、台湾IT業界にも、よりよい展開が期待できそうである。(ベガシステムズ・若尾和正)